STマイクロエレクトロニクス、 デジタル電源の利用を加速させる設定可能で高効率の インタリーブ型力率改善コントローラICを発表
Geneva / 23 Mar 2017STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、スイッチング電源(SMPS)用コントローラICであるSTNRGPF01を発表しました。このコントローラICは、カスタムDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)コードの開発における技術的な課題を解消し、開発期間を短縮しながら、デジタル電源の柔軟性と効率を高めます。STは、APEC 2017(米国・フロリダ州タンパ、3月26日~30日)のSTブースにおいて、STNRGPF01を搭載した3kW産業用SMPS評価ボードを展示します。
1~2kW超の高容量アプリケーションでは、このような電力水準を適度な磁気量と電流分割で実現するため、インタリーブ型CCM PFC(Continuous-Current Mode:連続電流モード、Power-Factor Correction:力率改善)トポロジが不可欠です。さらに、効率、接続性、設定オプションを向上させようとした場合、高価で複雑なDSPソリューションが必要になります。
STの新しいインタリーブ型ブーストPFCトポロジ向けのSMPS用コントローラICは、eDesignSuiteオンライン設計環境を使用して迅速かつ簡単に設定できる上、モニタと制御を行うためのI2CインタフェースおよびUARTインタフェースを搭載しています。また、3つのインタリーブ位相をサポートするため、リップル電流の低減、小型インダクタを採用したEMIフィルタ設計の簡略化、さらには幅広い電力範囲(500W~20kW超)を実現します。STNRGPF01の柔軟かつ設定可能なフェーズ・シェディング戦略は、アクティブな位相の数を自動的に最適化するため、あらゆる負荷状況において高効率を維持できます。
STNRGPF01は、平均電流モード制御を使用し、固定周波数のCCMで動作します。ハードウェアの内部電流ループは、正確なサイクル・バイ・サイクル方式の制御を行う一方、デジタル比例積分(PI)コントローラは高速ダイナミック応答を行うよう外部電圧ループを管理します。周波数を数kHzから300kHz超までプログラミングできるため、IGBTもしくはパワーMOSFETの出力段も制御することができます。その他の設定可能な機能には、突入電流制限やPFCソフト・パワーオンなどが含まれます。
STNRGPF01は、eDesignSuiteで簡単な設定を行えば、優れたデジタル電源を実現でき、工業用溶接機などの機器、モータ駆動機器、ポンプ、無停電電源装置(UPS)、商用・コンスーマ用エアコン、生活家電(冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、調理器具など)において、柔軟性、信頼性、安全性および電力効率を向上させます。
STの設計手法により、最終製品開発により注力することができます。eDesignSuiteにコンバータの仕様を入力し、コンフィギュレータを実行すれば、回路図、部品表、IC設定用のダウンロード可能なファームウェアが自動的に生成されます。プロセッサのメモリや割込み構造の理解や、DSPで必要な機能を実装するためのコード作成が不要になるため、アナログ・コントローラICとは比較にならないほどの柔軟性が設計者に提供されます。
STNRGPF01は現在量産中で、TSSOP38パッケージで提供されます。単価は、1000個購入時に約3.50ドルです。
詳細については、www.st.com/stnrgpf01