28 Jun 2017 | Geneva

STマイクロエレクトロニクス、 インターネット接続機器の普及を加速させる、次世代Bluetooth low energyアプリケーションプロセッサを発表

  • 低消費電力かつ高性能な小型ICが、消費電力とサイズに制約のあるBluetooth low energy通信対応機器の広範な普及を実現
  • 最先端のセキュリティとBluetooth 5.0への対応が、最新スマートフォン / タブレットとの相互通信を実現
Geneva / 28 Jun 2017

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、次世代のBluetooth® low energyアプリケーション・プロセッサを発表しました。同製品は、住宅、商業施設、産業、玩具やゲーム、パーソナル・ヘルスケアからインフラストラクチャまで、あらゆる分野においてインターネットに接続されるスマート機器の普及を加速します。

スマートフォン、タブレットおよびコンピュータなどの新製品に導入されるBluetooth low energyによって、消費者は、自分の持っている機器からあらゆるBluetooth low energy対応機器と通信することができます。同様に、サービス・プロバイダは、簡単に機器をクラウドと接続し、サービス提供やデータ収集が可能になります。

STは、シンプルかつ高機能で、ボタン電池で数ヶ月から数年間も動作可能なBluetooth low energy対応機器の需要が高まっていると考えています。新しいBlueNRG-2は、電力効率の非常に高いプログラマブル・プロセッサおよびスタンバイ・モードなどの超低消費電力機能を特徴としており、これらの要件をサポートします。また、高いRF信号強度が、信頼性の高い無線通信を可能にするため、システムの消費電力を低減しするほか、Bluetooth low energyソフトウェアおよびアプリケーション・コード用に集積されている大容量メモリが、外付けメモリを削減し、システム設計を簡略化します。Bluetooth 5に準拠するBlueNRG-2は、最新世代のスマートフォンとの相互通信を可能にすると共に、最先端の拡張機能(セキュリティ、プライバシー保護、高速データ通信用のパケット長拡張など)をサポートしています。

STのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 アナログ・MEMS・グループ ジェネラル・マネージャであるBenedetto Vignaは、次のようにコメントしています。「BlueNRG-2は、歯ブラシや照明スイッチなどのモノとモバイル機器とのセキュアかつ高電力効率の信頼性の高い通信を可能にし、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるSmart Thingsの時代をリードします。さらに、これらのモノは、シンプルな構成を活用し、必要に応じて密閉できると共に、AndroidやiOSのスマート・アプリケーションによる自然な音声制御や機能豊富でスタイリッシュなユーザ・インタフェースを通じた完全な相互運用も可能です。」

BlueNRG-2チップを使用した次世代のコネクテッド・デバイスの設計・開発を大幅に簡略化するBlueNRG Navigatorグラフィック・ユーザ・インタフェース(GUI)を特徴とする、包括的なソフトウェア開発キット(SDK)が提供されており、よりスマートな開発環境を可能にしています。

BlueNRG-2はQFNパッケージ(32ピン)で提供され、現在入手可能です。さらに多くの汎用入出力ピンを搭載したQFNパッケージ(48ピン)と、超小型WLCSPチップ・スケール・パッケージ(2.6 x 2.7mm)のオプションが年内に追加される予定です。BlueNRG-232(QFNパッケージ)の単価は、1000個購入時に約1.95ドルです。SDKは、www.st.com/stsw-bluenrg1-dk-prから無償でダウンロードすることができます。

術情報
BlueNRG-2は、低消費電力かつ超高効率で32bitの処理性能を持つARM® Cortex®-M0プロセッサを採用しています。また、暗号化処理、電源制御、クロック制御などの機能を搭載するほか、コードやデータを柔軟に保存できるFlashメモリ(256KB)を内蔵しています。スタンバイ・モード(動作電流0.5µA)などの複数の低消費電力モードにより、最小限の電力で機能要件を満たすことができます。内蔵のBluetooth low energy無線(RF最大出力パワー設定:+8dBm)が通信範囲を最大化すると共に、データのエラーや再送信を防止することで全体的な消費電力を節約します。さらに、最高動作温度が105°Cのため、車載環境を含む幅広い用途に使用することができます。

BlueNRG-2を使用する開発者は、業界最先端の加速度センサ、ジャイロ・センサ、地磁気センサ、慣性センサ・モジュール、大気圧センサ、その他の環境センサを含むSTのMEMSセンサ・ポートフォリオをシームレスに利用することができます。内蔵の10bit ADコンバータ(2チャネル)は、アナログ・フロントエンド・トランスデューサ用の利便性の高いインタフェースになり、Pulse Digital Modulation(PDM)インタフェースは、音声制御に適したデジタルMEMSマイクロフォンとの接続を簡略化します。また、大容量メモリと高効率のプロセッサ・アーキテクチャにより、システム全体の消費電力への影響を低く抑えながら、STのOpen.MEMSライブラリの動作が可能になります。さらに、センサとライブラリの組み合わせが、ジェスチャ認識やアクティビティ・トラッキングなどの先進的な機能の実装を可能にします。

またSTは、BlueNRG専用の超小型バラン(BALF-NRG-02D3)を開発しました。インピーダンス整合回路および高調波フィルタを集積したこの多機能バランの実装面積は1.2mm2以下で、RF回路の複雑さを軽減するとともに、RF回路性能を最適化します。また、非導電性ガラス基板上に形成されるため、温度によるバラツキが少なく、競合製品に対する優位性を保持しています。

BlueNRG Navigator GUIは、機器の設定、セットアップおよびテストを簡略化・効率化するため、メーカーや開発者は、無線やBluetooth low energyに関する専門知識がなくても、すぐに開発が始められ、新しいアイデアをスマート機器に実装することができます。直観的なグラフィカル・インタフェースのため、ほんの数時間で使いこなせるようになります。アプリケーション・サンプル、コード・スニペット、そして多様なツールがサポートされており、BlueNRG-2評価キットを使ったコーディングを迅速に開始できます。

BlueNRG-2評価キット(STEVAL-IDB008V1)には、MEMSセンサ、LED、プッシュ・ボタン、およびプログラミング・インタフェースが搭載されており、入手後すぐに付属のデモ・ソフトウェアを実行できます。Arduino互換コネクタも搭載されているため、外部の拡張ボードを追加して、より複雑なアプリケーションの開発も可能です。

STマイクロエレクトロニクスについて
STは、私たちの暮らしに欠かすことのできないエレクトロニクス機器に、優れた性能と高い電力効率を特徴とした半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。あらゆるシーンで活躍するSTの製品は、お客様が開発する次世代モバイルやIoT機器の他、よりスマートな自動車、工場、都市および住宅を可能にします。STは、生活をより豊かにする技術革新を通じ、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。STは、10万社を超えるお客様に半導体を提供しており、2016年の売上は69.7億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。