STマイクロエレクトロニクス、自動車の安全性を最高水準に高める車載用マイコンを発表
車載機器向け安全規格への準拠を可能にする自社の内蔵Flashメモリ技術を採用したマルチコア・マイコン ジュネーブ発 / 21 Feb 2013多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーで、車載用半導体の主要サプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE: STM、以下ST) は、カー・エレクトロニクスの機能安全に対応するアプリケーションを対象としたマルチコア・マイクロコントローラ(マイコン)ファミリの新製品を発表しました。最も厳しい自動車安全規格(ISO 26262)に準拠するこの新製品は、不揮発性メモリの容量が増加しており、既存製品からのアップグレードがシンプルであると共に、高い安全性が要求される車載アプリケーションに向けた障害耐性の高いマイコン製品ラインを強化します。
車載用32bitマイコンのSPC56EL70は、現在、自動車向け機能安全規格が定めるASIL(最も厳しいレベルのASIL D含む)への準拠が必要な幅広い車載アプリケーション向けに設計された同製品ラインの最新製品です。現在、これらの要件は、アンチロック・ブレーキ、電動パワー・ステアリング、アクティブ・サスペンション、高度運転補助システム(ADAS)等の重要な車載システムで一般的に求められています。
機能安全規格であるISO 26262は、電気系統全体の故障が原因で生じた危険による不慮のリスクを回避するために必要な規則を定めています。車載用マイコンは極めて重要な役割を担うため、STの車載セーフティ用デバイスは適用規格の全項目について評価されています。
新しい車載用マイコンは、高性能コア(2個)、内蔵Flashメモリ(2MB)、内蔵RAM(192KB)、CAN(Controller Area Network)インタフェース(3個)、およびセーフティ用途とモータ制御用途に最適化されたペリフェラルを1チップに集積しており、ブラシレス3相モータを最大2個までサポートします。このデュアルコア・アーキテクチャは、システム・レベルでのコンポーネントの重複を避け、システム全体のコストを抑えます。また、本製品に採用されているデュアル・コアアーキテクチャは柔軟性をもたせてあり、ロックステップ・モードまたはパラレル・モードへの切り替えが可能で、各種セーフティ用途に応じて、安全面と性能面でのバランスが取れるよう配慮されています。
SPC56ELはPower Architecture™ ベースの車載用マイコン・ファミリの一部で、開発者はこの32bitマイコン・コアをパワートレイン、カー・ボディ、シャーシ、およびセーフティ・システムに利用することができます。これらの製品は、先進的な機能をサポートし、自動車の性能や経済性を向上させ、ハードウェアとソフトウェアの再利用を促進することで開発コストを低減します。
全製品が、スケーラビリティの高い32bit Power Architectureを採用したe200シリーズのコアと、アプリケーションに最適化されたペリフェラル及び内蔵Flashメモリで構成されており、高集積化・設計資産の再利用・開発期間の短縮とコストの低減を実現します。サプライチェーン戦略の一環として、この製品ラインは、STの20年にわたる内蔵Flashメモリの専門技術をベースとしたeFlashプロセスで製造されます。現在、SPC56ELは、768KBから2MBの内蔵Flashメモリ・オプションを用意しており、パッケージはLQFP100およびLQFP144から選択できます。また、BGA257パッケージでの提供も予定されています。
STのグループ・バイスプレジデント 兼 車載用マイコン & インフォテインメント製品事業部 ジェネラル・マネージャであるFabio Marchioは、次の様にコメントしています。「機能安全規格への準拠は、重要な車載アプリケーション向け最先端SoCを実現する上で不可欠です。既存のデュアル・コア・デバイスとの互換性を保ちつつ、メモリが増加した上位製品へのアップグレードが可能になったことで、自動車分野における当社のお客様は衝突防止レーダーのような警告の表示から回避までを行うより要件が厳しいアプリケーションに迅速に対応することができるようになります。」機能安全規格ISO26262 ASIL-Dに準拠したSP56EL70は、現在サンプル出荷中です。価格を含む詳細情報はSTのセールス・オフィスまでお問い合わせください。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2012年の売上は84.9億ドルでした。さらに詳しい情報は、STのホームページをご覧ください。www.st-japan.co.jp