STマイクロエレクトロニクス、Bluetooth®と802.15.4のマルチ・プロトコルに対応した高性能32bitマイコンを発表
- 超低消費電力32bitマイコンと、Bluetooth 5(Bluetooth® low energy)およびIEEE 802.15.4の融合で、多機能なネットワーク接続機器向けの高性能無線プラットフォームを確立
- 2つのArm® Cortex®-Mプロセッサ(メイン処理 / 無線通信用)が、スムーズなユーザ体験を実現
- STM32開発エコシステムとの互換性が開発者に優位性を提供し、開発期間を短縮
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、デジタル家電、ウェアラブル機器、スマート照明、スマート・センサなど、次世代のスマートなネットワーク接続機器向けに、デュアル・プロセッサを搭載し、無線通信機能を内蔵した32bitマイクロコントローラ(マイコン)を発表しました。この32bitマイコンは、新しい機能の追加と、性能を強化しつつ、バッテリの長寿命化により、エンド・ユーザの製品に対する満足度の向上を実現します。
無線通信機能を内蔵した32bitマイコンのSTM32WBは、メイン・アプリケーションを実行する Cortex-M4プロセッサと、Cortex-M4の負荷を軽減するためのCortex-M0+プロセッサを組み合わせ、Bluetooth 5およびIEEE 802.15.4によるリアルタイムの動作を可能にします。さらに、その他の無線プロトコル(OpenThread、ZigBee®など)や独自のプロトコルも実行できるため、IoT機器の接続方式の選択肢を増やすことができます。
現在、ユーザ・アプリケーションと無線を個別に管理して性能を最適化するデュアル・プロセッサと、大容量メモリの双方を備えた無線通信機能内蔵のマイコンを提供しているメーカーは今のところ少数です。また、その多くはエントリ・レベルのCortex-Mプロセッサを採用しており、アーキテクチャ上の制約は避けることができません。
STM32WBは、高性能なCortex-M4、ネットワーク処理専用のCortex-M0+を組み合わせると共に、STの超低消費電力マイコン技術を活用し、優れた無線通信性能とバッテリの長寿命化を実現しています。同製品は、通常エンジニアが設計しなければならない、アンテナへの接続に必須の回路(バラン)も内蔵するほか、大容量のユーザ・メモリとシステム・メモリ、暗号化エンジン、ユーザ・キー・ストレージによってIPを保護します。
“STのグループ・バイスプレジデント 兼 マイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次のようにコメントしています。「STM32WBシリーズは、高集積で妥協のないデュアル・コア性能を実現しました。これは、より高性能で手頃なスマート接続機器を求めるエンド・ユーザのあくなき要求に応えるために、開発者が今まさに必要としているものです。さらに、STM32開発エコシステムとの互換性により、設計上のメリットも提供されます。照明器具、フィットネス機器、医療用モニタ、ビーコン、タグ、セキュリティ機器などの新製品の開発時間の大幅な短縮に貢献します。」
STM32WBはWLCSP(最大100ピン)を含む各種パッケージで提供され、2018年第1四半期にサンプル出荷が開始される予定です。大量購入時の単価は、約1.56ドルです。
技術情報
超低消費電力マイコンとして定評のあるSTM32L4シリーズから進化したSTM32WBプラットフォームは、無線通信機能を内蔵したSTM32ファミリの製品です。2.4GHz無線は、堅牢な上に送信モードで5.5mA、受信モードでは3.8mAとわずかな電力しか消費しません。RFリンク・バジェットは-102dBmという設計で、最大出力パワーは+6dBmです。STの1チップ・バラン技術を利用した内蔵バランにより、最大9個の外付け部品が不要になります。
STM32WBは、バッテリの長寿命化と複雑な機能を想定して設計された、STM32の豊富なデジタルおよびアナログ・ペリフェラルを活用しています。タイマ、超低消費電力コンパレータ、12/16bit SAR ADコンバータ、静電容量式タッチ・キー・コントローラ、LCDコントローラ、業界標準の通信機能(水晶発振子不要のUSB 2.0 FS、I2C、SPI、シリアル・オーディオ・インタフェース、Quad-SPIなど)が用意されています。
開発を支援するために、STM32WBプラットフォームには専用のコネクティビティ・ツールSTM32CubeMonitor-RF(オーダー・コード:STM32CubeMonRF)が付属しており、無線機能のテストを簡単に行うことができます。ピン配置 / クロック設定とコード生成の機能を持つSTM32CubeMXや、ペリフェラル・ドライバ、ミドルウェア、コード・サンプル、専用のSTM32 Nucleoボードも利用できるため、開発期間の短縮につながります。
デュアル・プロセッサを搭載したSTM32WBのアーキテクチャは、アプリケーション・コードとネットワーク処理タスクのどちらもリアルタイムで実行できます。そのため、開発者は卓越したエンド・ユーザ体験を実現できる一方、システム・リソース、消費電力および部材コストを柔軟に最適化することができます。
ネットワーク処理コントローラのCortex-M0+は、OpenThreadスタックや、Mesh 1.0サポート対応のBluetooth 5スタックなどの認証済みプロトコル・スタックを使用でき、複数のプロファイルが用意されています。汎用のHCIおよびMAC層を利用すれば、開発者は任意のBluetooth 5スタック、またはIEEE 802.15.4対応の独自スタックの使用が可能です。
また、セキュリティ機能として、ユーザのデータや知的財産の保護において必要不可欠である、ユーザ・キー・ストレージ、公開鍵認証(PKA)のための楕円曲線暗号エンジン、AES 256bit暗号のハードウェア・サポートなどを搭載しています。OTA (Over the Air ) の認証機能は、セキュア・ファームウェア・アップデート(SFU)と、RSSに対応しており、よりセキュアな状態で無線経由でのファームウェアアップデートを実現します。
STM32WBは、UQFN(48ピン)、VQFN(68ピン)、WLCSP(100ピン)の各種パッケージで提供され、汎用I/O(GPIO)は最大72個まで使用できます。それぞれ、256KB Flash / 128KB RAM、512KB Flash / 256KB RAM、1MB Flash / 256KB RAMの3種類のメモリ構成から選択できます。詳細については、www.st.com/stm32wbをご覧ください。