STマイクロエレクトロニクス、世界初の汎用照明コントローラICを発表
住宅・オフィス・街灯向けにコスト・パフォーマンスと電力効率に優れた照明システムを実現 ジュネーブ発 / 11 Feb 2013多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーで、パワー・マネージメント・ソリューションの世界的リーダーであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、住宅・商業施設・公共施設向けに、より地球に優しく、経済的かつ安全で、柔軟性の高い照明システムを実現する汎用照明コントローラICの新製品を発表しました。 照明・電源アプリケーションに特化した、世界初のプログラム可能なデジタル・コントローラICであるSTLUX385 (Masterlux™ プラットフォーム) は、従来の電力変換トポロジ設計を簡略化することで、革新的な照明システムの迅速な開発を可能にします。
STLUX385は、コスト・パフォーマンスに優れた実績のあるSTM8マイクロプロセッサ・コアと、照明用電源およびデジタル照明制御のシンプルな設計を目指した独自のペリフェラル・セットを組み合わせており、LED・蛍光灯・HID(高輝度放電)照明システムの性能向上への可能性を切り開きます。現行および将来の照明アプリケーションでは、使用される照明技術、入力電源(AC/DC)、調光要件、安全性・信頼性の課題等、様々な要件に応じて、多様な電力変換および電力制御トポロジが必要になります。STLUX385は、これら全ての要件をプログラム可能なシングルチップでサポートする初のデバイスです。
STのインダストリアル & パワー・コンバージョン事業部 グループ・バイスプレジデントであるMatteo Lo Prestiは、次の様にコメントしています。「発電量の20%以上が住宅、街灯、オフィス、工場、公共施設の照明に使用されています。照明効率の向上は、持続可能な世界を実現するために不可欠です。電力変換ソリューションに関する25年におよぶSTの経験を単一プラットフォームに集約したSTLUX385は、より革新的かつ効率的な照明ソリューションの構築を可能にします」
STLUX385には、この照明効率の向上の目標を達成するため、SMED(State Machine、Event-Driven)回路と呼ばれる6個の特別に設計されたペリフェラルが内蔵されています。これらの回路は、プログラム可能なスイッチング・マトリックスを介し、互いにまたは外部信号と連携することで、照明素子に供給される電力を制御します。SMEDは、専用のアプリケーション信号に加え、照明のオン・オフ切替や調光レベル設定を行う外部コマンド、オープン・ショート検出等の診断信号の他、環境条件へ適応するよう設計された照明の場合はアプリケーション内センサからの入力を処理します。
例えば、これによりインテリジェントなLED街灯が実現するため、設定時間にオン・オフ切替を行う代わりに、日没に合わせて自動的に輝度を高め、反対に日の出に合わせて除々に輝度を下げることができます。
STLUX385の使用により、現在は高価な外部デジタル・シグナル・プロセッサを必要とする高性能照明システムの製品開発期間が短縮され、低コストでの生産が可能になります。また、専用アルゴリズムが照明の品質・認知度を高め、高効率変換アルゴリズムが省電力と同時に、ユーザと照明システム間の新たな相互通信を可能にします。
STLUX385は、6個のSMEDペリフェラルに加え、ハードウェアDALI(Digital Addressable Lighting Interface)ペリフェラルを内蔵しています。照明のデジタル制御は、屋内外の照明設備を省電力化する上で重要です。現在、DALIプロトコルが照明業界全体で国際的に使用されています。また、STLUX385は有線・無線通信との互換性があり、屋内外における広範な設置の簡略化と保守コストの低減を可能にします。
現在、STLUX385は小型TSSOP38パッケージで提供中で、1000個購入時の価格は約2ドルです。
STLUX385の特徴
- 設定可能なPWM State Machine Event Driven(SMED)出力(6個)分解能:10.4ns(自動ディザリング使用時:最大1.3ns)
- DALIスレーブ・ハードウェア・ペリフェラル
- 屋外仕様向けの動作温度範囲 : -40℃~105℃
- アナログ・コンパレータ(4個、内蔵96MHzクロックと同期)
- 高速デジタル入力(6個、内蔵96MHzクロックと同期)
- STM8コア・ベース(最大20MIPS)
- 8チャネル、10bit ADコンバータ(プログラム可能なオペアンプ・ゲインおよびシーケンサ)
- 電源電圧範囲: 3V~5.5V
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。
2012年の売上は84.9億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(www.st-japan.co.jp)をご覧ください。