コモン・モード・フィルタ(CMF)とは、差動伝送ライン、電源ライン、およびオーディオ・ラインのコモン・モード・ノイズを最小化するフィルタです。車載用以外のアプリケーション(USB、HDMI、Mipiなど)や、USB、CAN、CAN-FD、100Base-T1、1000Base-T1、LVDS、SerDesなどの車載用アプリケーションで使用されます。
信号品質を低下させることなく、数メガヘルツから数百メガヘルツまでの周波数を持つコモン・モード・ノイズを低減するのに最適です。
コモン・モード・フィルタが車載用アプリケーションで必要とされる理由
STの車載アプリケーション向けコモン・モード・フィルタは、AEC-Q101の認証を受けており、IEC 61000-4-2およびISO 10605規格に準拠しています。
通信性能を高めながらコモン・モード信号を減衰させる2つの差動ライン・ペア向けの静電放電保護を搭載した設計です。
これらのコモンモード・フィルタは、高速差動リンクによって、RFアンテナが受信する周波数で輻射ノイズが生成されるアプリケーションにおいて、RFアンテナ感度劣化を防ぐよう設計されています。そのため、デジタル・ビデオおよびオーディオ、Ethernetなどの制御通信向けのHDBaseTおよびIEEE 1000Base-T1コネクティビティ・ソリューションでよく使用される、非シールド・ケーブル(UTP:非シールド・ツイスト・ペア)に最適です。
これらは、FPD-link、GMSL、およびMIPI DSIやCSIといったSerDes(シリアライザ / デシリアライザ)アプリケーションにおける、車車間・路車間通信(V2X)(5.9GHz)や全地球航法衛星システム(GPS、Glonass、BeiDou、Galileo、およびIRNSS)の各周波数で電波障害を避けるために活用されます。
以下の認定取得を補助:
- CISPR-25(電波障害特性に関する国際規格)
- 2004/104/EC(放射妨害波および耐性に関する欧州規格)
- SAE J1113/41(北米市場向け)
ECMFタイプの製品:
STのECMFシリーズは、WLCSPパッケージまたはDFNパッケージのいずれかで提供され、産業用および車載用組立て要件に対応します。本製品は、2ラインまたは4ラインで提供され、最適なフロースルー・フットプリント設計で、不要な周波数のコモン・モード減衰に優れています。
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車載用コモン・モード・フィルタのメリット:
- 高速ESDプロテクションおよび耐性
- デュアル・クランピング構造(ESDダイオードとインダクタンスの直列抵抗)によりESDクランプ機能が向上
- 有用なアンテナ帯域幅におけるコモン・モード・ノイズを低減することでレシーバの感度を向上
- ESD保護ダイオードとコモン・モード・フィルタの両方を集積することでスペースとBOMを削減
- アイ・ダイアグラムの歪みを低減する低シリアル抵抗
- CISPR-25(電波妨害特性に関する国際規格)、2004/104/EC(放射妨害波および耐性に関する欧州規格)、および北米市場向けSAE J1113/41への準拠に役立つ
- 集積により寄生エレメントを大幅に低減
- プラスチック・パッケージにより車載用組立てに対応
無料ウェビナー 新しいUSB4およびHDMI 2.1規格向けの10.7GHz帯域幅コモン・モード・フィルタ
この1時間のウェビナーでは、産業用アプリケーションおよびパーソナル電子機器アプリケーションのEMC規格に従い、ノイズの多い状況でアンテナのRF感度を最適化する方法を紹介します。アンテナの感度劣化やEMC規格の準拠にお困りのハードウェア・エンジニアや、より小型のハイスピードUSBおよびHDMIコネクタの設計方法を模索している組込みシステムのエンジニア向けのウェビナーです。各種RSSI、スペクトル分析、Wi-Fiの10Gbpsデータ転送の転送速度のテスト結果に基づく専用のセッションがあります。
スケジュール:
- ECMFが必要な理由:
- ノイズ抑制とコモン・モード・フィルタリング
- EMC規格準拠に向けてのアンテナの感度劣化や耐性に関する懸念
- STアプリケーションのラボ・セッション:
- SSIテスト結果、スペクトル分析、および10Gbps USB転送の転送速度のテスト結果を含む
- 最新のUSB4およびHDMI 2.1規格の概要
- ST ECMFSTのECMFシリーズのアプリケーションおよび製品の概要