電動化
スーパーカーは、単なる乗り物ではありません。パワー、スピード、ハンドリングなど、あらゆる性能の極致であり、ユニークなデザインや高級感、モダンさと組み合わさって、比類のないドライビング体験を提供します。巨大なエンジンと豪華なシャーシがもたらすこの特別な体験は、何十年もの間、内燃機関によって実現されていました。そのため、McLaren Applied社のような企業は、EVで真のスーパーカーを作るという、テクノロジーにおける最大の課題のひとつに直面しています。
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EVが市場にあふれる中、最大の課題の1つはドライビング体験の差別化です。STのSiCパワー半導体により、差別化と高度なモータ制御ソフトウェアを実現できました。
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Geoff Owen氏, McLaren Applied社 チーフ・エンジニア
スーパーカーがもたらす特別なユーザ体験が、スピード、トルク、敏捷性、レスポンスによって実現していることを考えると、課題はさらに複雑です。実際、電動モータに移行するだけでは十分ではありません。この高級市場の顧客は、自動車に対して精神性や、唯一無二の感動をもたらす個性を求めています。McLaren Applied社は、こうした課題に対処するとともに、幅広い量産アプリケーションに対して拡張性の高い性能を提供するため、800V耐圧 SiC(炭化ケイ素)インバータ「IPG5」を開発しました。同社は、慎重な評価の結果、STのSiCパワーMOSFETが集積されたACEPACK DRIVEパワー・モジュールを採用しました。
SiCパワー半導体は、トラクション・インバータの中核部品の1つであり、パワー・モジュールは部品数の60%を占めます。そのため、McLaren Applied社は要求性能を実現できる最適なデバイスが必要になり、ACEPACKモジュールを採用しました。
STのSiCパワー半導体は、1.9mΩというきわめて低い抵抗値を実現しつつ、定格480Armsを上回る唯一の製品です。それに対し、業界の多くの製品は抵抗値が3mΩ、出力電流が400Arms程度にとどまっています。
採用を決定づけたもう1つの大きな要因は、STの生産能力です。STは、必要数の生産を保証するだけでなく、McLaren Applied社の組立て工程に最適なセルフクリンチング・ナットを取り付けるために、パワー・モジュールをカスタマイズすることも可能でした。
些細なことのように見えるかもしれませんが、製造のエキスパートは、ほんのわずかな部分が大きな違いをもたらすことを知っています。だからこそ、McLaren Applied社はSTと緊密に協力することで、第5世代のIPGインバータを製品化し、自動車、航空、船舶、モータ・スポーツ、商用車両といった、幅広い高性能アプリケーション向けに提供することができました。
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私にとって最も重要なことは、サプライヤとの良好な関係です。良好な関係により、あらゆることをスムーズに進めることができます。当社は、STときわめて強力な関係を構築しています。
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Ewa Manners氏, McLaren Applied社 カテゴリ・マネージャ
マス・マーケット向けEVにおいて信頼性、航続距離および効率の重要性が高まる中、コスト効率に優れたSiCパワー・モジュールを採用する流れが業界全体に広がっています。STのACEPACK DRIVEは、その卓越した性能により、自動車の電動化をリードしたい自動車メーカーにとって明確な選択肢となっています。
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当社の目標は、高性能・高効率の実現と同時にきわめて電力密度の高い製品の開発に必要な機械的統合とシームレスに整合させることでした。STとのパートナーシップはその実現に貢献しました。
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Paolo Bargiacchi氏, McLaren Applied社 自動車部門製品・プログラム・エンジニアリング責任者