ヘルスケア
高精度な医療検査が専門機関に限らず、自宅でも素早く快適に利用できる世界を想像してみてください。このような世界は、スペインのメドテック企業であるQassay社の先進的な取り組みによって、もはや未来のビジョンではなく現実のものとなっています。Qassay社は、自己検査キット用の携帯型ラテラル・フロー・リーダを開発することで、迅速検査に革新をもたらしました。これにより、デジタルかつセキュアで、より高効率な在宅医療検査が一般的なものになります。
Qassay社は、迅速検査の普及や、より包括的な医療エコシステムの構築をミッションに掲げています。Qassay社の革新的なラテラル・フロー・リーダは、SARS、デング熱、あるいはビタミンD欠乏症といいた疾患、感染症、または生体マーカーを少量の液体試料から5秒以内に検出できる業界初の小型検査用機器です。
この革新的なテクノロジーは、きわめて高感度で低濃度検体の検出および定量化を実現し、検査室レベルの高精度検査を患者や医療従事者に提供します。Qassay社のラテラル・フロー・リーダは、先進的なエレクトロニクス、マルチスペクトル・センサ、および高度なアルゴリズムに、使いやすいモバイル・アプリケーションとクラウド・ベースのソフトウェアを組み合わせて実現されています。
Qassay社は、検査室グレードの検査装置と同等の性能を備えた、小型かつ堅牢な検査機器を開発するという大きな課題に直面していました。
このような課題に対応するため、同社は、バッテリ駆動機器の厳しい要件を満たしつつ、最高レベルのセキュリティ(PSAレベル3認証取得済み)を提供できるSTM32WBAワイヤレスSoCをすぐに採用しました。Arm® Cortex®コアを搭載し、最大100MHzで動作する同製品は、スペクトル・センサのデータ収集アルゴリズム実行に必要な処理能力を備えています。
また、STM32WBAは、複数の低消費電力モードを備えているため、充電1回当たりの検査回数を減らすことなく、バッテリの小型化や機器全体の軽量化に貢献します。
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大型の医療検査装置をポケットサイズに小型化するのは、容易なことではありません。STからSTM32WBAワイヤレスSoCを提案されたとき、理想的なSoCが見つかったと確信しました
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Gorka Alapont氏, Qassay社 事業開発マネージャー
Qassay社のラテラル・フロー・リーダは、LEDと分光センサを使用して光度を測定します。ユーザは、付属のスマートフォン・アプリのガイドに従って使用することができ、取得されたデータはシームレスかつ安全にクラウドに転送され、分析されます。このセキュアなデータ処理は、デバイス動作の中核をなすSTのワイヤレスSoC「STM32WBA」によって実現されています。同製品は、デバイスおよびクラウド・ベースのアプリ間の暗号化通信を簡略化し、患者データの機密性を保持します。
ワイヤレスSoCとアプリケーション間のセキュアで暗号化された接続は、Qassay社にとってデータ・セキュリティの観点からきわめて重要でした。STM32WBAワイヤレスSoCの重要な機能の1つであるセキュア・ブートは、医療機器への不正アクセスや不正操作、誤った結果の生成を回避するために不可欠なセキュリティ・レイヤを追加します。
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医療において、データ・セキュリティは最優先課題です。そこで、優れたセキュリティ機能を備えたSTM32WBAワイヤレスSoCをすぐに採用しました
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Gorka Alapont氏, Qassay社 事業開発マネージャー
Qassay社の革新的な製品は、卓越した効率と費用対効果を提供します。世界で最も厳格な規制基準の1つであり、ヨーロッパで求められるCE認証を取得したQassay社の製品は、単に先進的であるだけでなく、厳しい安全基準と性能基準も満たしています。
また、1回の充電で何度も検査できる再利用可能な設計により、高い利便性を実現しています。バッテリ残量が少なくなっても、USBケーブル1本で簡単に充電できます。こうした利便性と手頃な価格は、デング熱の症例が過去5年にわたり毎年急増しているブラジルなどの熱帯諸国において、きわめて重要です。デング熱のように蚊が媒介する疾患は、異常気象の激化に伴って南北アメリカ大陸やアフリカで増加しており、より身近に検査にアクセスできることがこれまで以上に重要になっています。また、これは一例にすぎず、世界各地で多くの国が毎年感染症の拡大に対処しています。
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1回の充電で1,000回検査できれば、
大きな時間の節約になります。
ブラジルでは今年、デング熱の症例が100万件を超えました。このような状況で医療グレードの在宅検査キットがあれば、どれほど役立つかを想像してみてください”
Gorka Alapont氏, Qassay社 事業開発マネージャー
多くの医療機関にとって、検査の実施は多額のコストがかかる上に、患者の治療に費やすべき貴重な時間を奪いかねません。そのため、従来は検査がまったく実施されない場合も多くありました。Qassay社のラテラル・フロー・リーダは、コストや時間のかかる院内検査の必要性をなくす便利な在宅検査ソリューションを提供します。
このリーダを使えば、従来のような検査結果の待ち時間がなくなり、データの調整と医療従事者への転送を即時かつセキュアに行えるようになり、医療に大きく貢献します。またその結果、迅速な意思決定が可能となり、最終的には医療システム全体の時間やリソース削減につながります。