STマイクロエレクトロニクス、マイコンの先進性によりスマート技術における主導的地位を強化
優れた性能とグラフィックスを提供するARM® Cortex™を搭載したSTM32の最新製品が、SEGGER社製とのソフトウェアの協力により多機能なユーザ・インタフェースを実現 ジュネーブ発 / 20 Feb 2013 多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE: STM、以下ST) は、ARM Cortex-M4コア(動作周波数: 180 MHz)と、より優れたユーザ機能を実現するグラフィックス関連の機能を統合した新しいSTM32マイクロコントローラ(以下マイコン)のサンプル出荷を開始しました。また同時に、大手ツール・ベンダのSEGGER社と協力し、組込みグラフィックス開発のソフトウェア・サポートを強化していきます。さらに、STは、2012年に主要顧客向けにサンプル出荷を開始した超大容量Flashメモリ内蔵の製品シリーズ(動作周波数: 168 MHz)の量産も開始しました。
新しいSTM32F429/39(動作周波数: 180 MHz)は、Cortex-M搭載32bitマイコンであるSTM32の性能面でのリードを広げると共に、新しい製造および設計手法によりSTOPモードでの消費電流が減少したため、携帯型機器においてバッテリを長寿命化することができます。さらに、同製品は、TFT-LCDコントローラ、グラフィックス機能を高速化するST Chrom-ART Accelerator™、SDRAMインタフェース等の新機能を搭載しているため、各種アプリケーション(スマート・メータ、小型家電、産業用/ヘルスケア用機器等)において、より多様かつカラフルなコンテンツの提供およびより直感的な操作が可能なユーザ・インタフェースを実現します。
STM32F429/39は、I2S TDM(Inter-IC Sound Time Division Multiplex)接続により、マルチ・チャネル・オーディオの設計が可能であると共に、組込みプロセッサ向けの最新かつ最強のコピー防止セキュリティ機能を備えています。また、同時に発表された新しいSTemWinグラフィックス・ソフトウェアは、SEGGER社の emWin組込みグラフィックス・スタックへのアクセスを提供し、これらの新しいハードウェア・グラフィックス機能を最大限に利用できるように最適化されています。
STemWinは、STM32のユーザが無料で利用でき、インターネット・プロトコルを使用してユーザ・インタフェースをリモート表示できるようにするSEGGER社の VNC(Virtual Network Computing)システムを含んでいます。開発者向けに追加された強力な機能には、ウィンドウ・マネージャ・パッケージ、ウィジェット・パッケージ、タッチスクリーン/マウスのサポート、ちらつきのない画面更新を可能にするメモリ・デバイス・コンテキスト等があります。
STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次の様にコメントしています。「STM32ファミリは、STM32F429/39シリーズの登場により、新たなベンチマークを確立しました。SEGGER社と協力し、高画質グラフィックス開発向けにSTemWinを提供できたことも嬉しく思っています。これは、STのお客様が、新しいSTM32F429/39の機能を最大限活用できる最高のタイミングでした。」
Michel Buffaは、さらに付け加えました。「またSTは、2012年11月に発表したSTM32F427/37シリーズの量産に入ろうとしています。これらの製品は高いコア性能と業界最大のメモリ容量を提供し、機能豊富なアプリや強力なソフトウェア環境をサポートします。」
現在、STM32F429/39は、広く使用されている各種パッケージ(LQFP100、LQFP144、WLCSP、LQFP176、UFBGA176)で主要顧客向けにサンプル品を出荷中です。また、STは、ピン・カウントが200ピン以上の新しい2種類のパッケージ・オプション(LQFP208、TFBGA216)を導入しました。これらはI/Oが増加しているため、設計者は新製品の強化された性能・機能を最大限利用することができます。
価格は、年間10000個購入時に、STM32F429VGT6(内蔵Flashメモリ: 1 MB、SRAM: 256 KB、LQFP100パッケージ)が7.60ドル、STM32F439BIT6(内蔵Flashメモリ: 2 MB、SRAM: 256 KB、暗号化/ハッシュ・プロセッサ搭載、LQFP208パッケージ)が10.23ドルです。
技術情報
最新のARM Cortex-M4コア(動作周波数: 180 MHz)を搭載するSTM32F429/39シリーズにより、マイコンおよびエントリ・レベル/ミッド・レンジのディスクリートDSPを、標準コア・ベースの1個のデジタル・シグナル・コントローラへの置き換えや統合が可能になります。この組み合わせは、高い電力効率と、STM32をサポートする強力な開発エコシステムへのアクセスも提供します。STのSTM32F4シリーズに搭載されたARM Cortex-M4コアは、STのART(Adaptive Real-Time)アクセラレータにより、さらに強化されました。ARTアクセラレータは、内蔵Flashメモリからのゼロ・ウエイト実行を可能にし、業界標準の性能測定基準で225 DMIPS(Dhrystone MIPS)と606 Coremark(EEMBC Coremark)を達成しています。
組込み設計者は、これまでC等のプログラミング言語しか使用できませんでしたが、STM32F429/39は256 KBのRAMに加えて最大2 MBのFlashメモリまたは1 MBのデュアル・バンクFlashメモリを内蔵しているため、組込みシステムにMicrosoft®.NET、Java、uC Linux™といった高度なプラットフォームを使用できるようになります。このアプローチにより、開発者はさらに多機能なアプリケーションを構築し、より迅速かつ効率的にユーザ体験を向上させます。デュアル・バンクFlashメモリを内蔵したデバイスではメモリ・コンテンツの保護に役立つRWW(Read-While-Write)機能を使用できるため、後で安全に適用するアップデートをダウンロードすると同時に、アプリケーションを通常通りに実行することができます。
さらにSTは、SDRAMモジュール用外部メモリ・インタフェースを内蔵し、デバイスに搭載された高速SDRAMをサポートするため、外部SRAMメモリに対するコスト効率に優れた代替手段が提供されます。この最新の外部メモリ・インタフェースも32bit幅のデータ・バスを持ち、最大84 MHzで動作します。
強化された内蔵ディスプレイ・コントローラにより、各種アプリケーションは、低価格・小型・リアルタイム効率というマイコン・ベースのシステムのメリットを受けながら、標準TFT-LCDへの接続が可能になりました。内蔵TFT-LCDコントローラは、高速グラフィック処理用ハードウェア・ブロックであるSTのChrom-ARTアクセラレータを採用しているため、Cortex-M4コア上でのソフトウェア実行と比較してピクセル-フォーマット変換と転送スループットを2倍にすることができます。開発者は、組込みリセット機能、電圧レギュレータ、豊富な接続ペリフェラル、内蔵メモリなど、マイコンの代表的な内蔵機能を利用することができます。STM32F429/39シリーズは、MPUベースの設計によく見られる大消費電力、外付けメモリ、およびオペレーティング・システムの非決定論的動作とは無縁です。
STM32F429/39は、最先端のI2S TDMデジタル・オーディオ接続機能を提供し、マルチ・チャネル・オーディオ設計をサポートします。初期のマイコンは、一般にデュアル・チャネルI2S規格しかサポートしていませんでした。
また、セキュリティおよび暗号化機能も強化されました。STM32F21xおよびSTM32F41xシリーズは、ハードウェア暗号/ハッシュ・コプロセッサの一部としてSHA-1をサポートしていましたが、STM32F437とSTM32F439は、AES GCM(AES Galois/Counter Mode)とCCM(Combined Cipher Machine)に加えてSHA-2もサポートしています。さらに、STM32F439は、高度なメモリ保護機能を提供するため内蔵Flashメモリ・セクタに制限された実行専用のアクセスを行うことができます。こうした新しいメモリ保護機能は、ソフトウェアIPプロバイダ、顧客および半導体メーカーによるファームウェアの違法コピーの防止に役立ちます。
STM32F429/39シリーズのSTOPモード時の消費電流は、コア性能が向上したにも関わらず、100μA(Typ.値)まで減少しました。これは既存のSTM32 F2およびSTM32 F4のSTOPモード時の電流の約3分の1で、STの高度な90 nm製造プロセスと新しい設計手法によって実現されました。そのため、RUNモード時の高い性能と、STOPモード時の低消費電力性を求める顧客に最適なソリューションです。
ハイエンドのSTM32F427/37およびSTM32F429/39を擁するSTM32ポートフォリオは、Cortex-M0 を搭載したエントリ・レベルのSTM32 F0から、Cortex-M3コアを搭載した超低消費電力、メインストリーム、および高性能のSTM32 L1/F1/F2シリーズ、DSPとFPU(Floating-Point Unit)を特徴とする最新のCortex-M4を搭載した STM32 F3/F4高性能ミックスド・シグナル・マイコンまで広がっています。これらの製品には、STの低消費電力プロセス技術のメリットが活かされています。
STM32ファミリには、製品間のピン・ソフトウェア・ペリフェラル互換性の他、コード・サンプル、設計IP、低価格Discoveryキット、サード・パーティ製開発ツール等の幅広い開発エコシステムがあり、設計変更やソフトウェア・ハードウェアの再利用、STM32プラットフォームから得るメリットを最大化するための柔軟性が向上しています。
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。
2012年の売上は84.9億ドルでした。さらに詳しい情報は、STのホームページをご覧ください。www.st-japan.co.jp