STマイクロエレクトロニクス、 PDM/PCM変換を可能とするデジタル・フィルタを内蔵した 新しいSTM32L4マイコンを量産
Geneva / 09 May 2017STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、超低消費電力32bitマイクロコントローラ(マイコン)であるSTM32L45xの量産を開始したことを発表しました。同製品には、低コストで使いやすいSTM32Cubeプラットフォームをベースとした開発エコシステムが用意されています。
STM32L451、STM32L452およびSTM32L462は、DFSDM(Digital Filter for Sigma-Delta Modulators)を搭載しており、ノイズ除去や音の方向検出などの先進的なオーディオ機能を低コストのマイコンで実現します。また、Flashメモリ(最大512KB)とSRAM(160KB)を内蔵しているため、大容量のコードやデータを保存することができます。
これらの新しいマイコンは、真乱数発生器(True Random-Number Generator:TRNG)も搭載しており、ネットワーク接続されるスマート機器など、セキュリティ重視のアプリケーションの開発を効率化します。また、STM32L462は、AES-256暗号化用ハードウェア・アクセラレータを搭載しているため、セキュアな製品の開発をさらに強力にサポートします。
その他の機能には、12bit ADコンバータ(5Msps)、内部電圧リファレンス、超低消費電力コンパレータなどの充実したアナログ・ペリフェラルが含まれています。また、モータ制御用を含む複数のタイマ、温度センサ、静電容量式センサ・インタフェースを搭載しているほか、STM32L452には水晶発振子無しで動作するUSB2.0インタフェースも内蔵されています。
開発エコシステムは、STM32CubeMX初期設定ツールおよびSTM32CubeL4パッケージ(ミドルウェア・コンポーネントを含む)、Nucleo-64ボード・サポート・パッケージ(BSP)、ハードウェア抽象化レイヤ(HAL)、ロー・レイヤ・アプリケーション・プログラム・インタフェース(LLAPI)で構成されています。STM32CubeMXでは、低消費電力設計に役立つ消費電力計算ウィザードと、クロック信号やピン配置の制御ウィザードを利用できます。
Nucleo-64ボード(NUCLEO-L452RE)を使用することにより、新しいアイデアの評価や試作開発を低コストかつ柔軟に行うことができます。同ボードは、プローブ不要のST-LINK / V2デバッガとプログラマを内蔵しているほか、Arduino®互換ピンヘッダを利用して拡張することも可能です。
新しいSTM32L4マイコンは、高いプロセッサ性能と卓越した電力効率を両立しています。処理能力を示すEEMBC®(1) CoreMark®スコアは、その他の超低消費電力プロセッサを大きく上回る273である一方、低消費電力性能のベンチマークであるULPBench™スコアは245という優れた電力効率を証明しています。アクティブ・モード時の消費電流がわずか36µA/MHzのため、小型バッテリでも駆動時間の長時間化が可能になると共に、環境発電を電源とするエネルギー・ニュートラルな製品の可能性が拡がります。
STM32L45xは現在入手可能で、超小型のWLCSP(3.36 x 3.66mm)をはじめ、QFN-48およびLQFP-100などの小型パッケージで提供されます。STM32L451CCU6(QFN-48パッケージ、Flashメモリ:256KB、SRAM:160KB)の参考サンプル価格は、約2.773ドルです。従来品と互換性を持つNucleo-64ボード(NUCLEO-L452RE)は約14ドルで、現在入手可能です。NUCLEO-L452RE-Pボード(外付けのDC-DCコンバータ搭載)は、2017年6月に販売代理店から入手可能になる予定です。
詳細については、www.st.com/stm32l452をご覧ください。
(1) EEMBC:エンベデッド・マイクロコントローラ・ベンチマーク・コンソーシアム(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)