STマイクロエレクトロニクス、低・中電力モータ駆動システムをシンプルかつ柔軟に制御する新しいSTSPINモータ・ドライバを発表
Geneva / 27 Aug 2018STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、7V~45Vの範囲で動作し、低・中電力のモータ制御を簡略化するシングル・チップのモータ・ドライバであるSTSPIN830とSTSPIN840を発表しました。両製品は、産業機器、医療機器、および生活家電に適した柔軟な制御ロジックと低RDS(ON)のパワー・スイッチを搭載しています。

STSPIN830は、三相ブラシレスDCモータ用のモータ・ドライバで、内蔵パワー段の3chハーフ・ブリッジを制御するためのモード設定端子を備えています。これにより、U / V / W相のパルス幅変調(PWM)を直接入力できるほか、より柔軟に制御するため各ゲートに対して信号を個別に入力することも可能です。さらにインバータの各レッグ用に専用のセンス端子を有しており、3シャントまたは1シャントの磁界方向制御(FOC)用の電流検知の設定を簡略化します。
一方、STSPIN840は、2個のブラシ付きDCモータ、または1個の大型モータを制御できるモータ・ドライバで、STの実績ある並列化コンセプトを活用しています。同製品は、内蔵のフル・ブリッジを2個の独立したブリッジ、または2つのパワーMOSFETを並列で使用することで、低RDS(ON)と高い定格電流を実現する1個のブリッジとして構成することができます。
両製品とも、オフ時間を調整できるPWM電流制御回路や利便性の高い省電力用スタンバイ端子に加えて、堅牢性と信頼性に優れた駆動を実現するための保護回路(損失ゼロの過電流保護、短絡保護、減電圧ロックアウト、サーマル・シャットダウン、インターロックなど)といった、豊富な機能を搭載しています。
両製品に内蔵されたパワー段には、わずか500mΩの低RDS(ON)を特徴とするST独自のパワーMOSFETが採用されており、高効率と低コストを両立します。また、STSPIN840は、出力ブリッジを個別または並列に接続して使用することを選択できるため、複数のモータを駆動するアプリケーションにおける部品点数を削減することが可能です。
高集積かつ柔軟性の高いこれらのモータ・ドライバは、産業機器、ロボット、医療機器、ビル自動化システム、オフィス機器などにおいて、小型でコスト・パフォーマンスに優れた制御を実現します。STSPIN830は、FA機器、生活家電、小型ポンプ、コンピュータ用ファンや汎用冷却ファンなどに最適です。また、STSPIN840は、ATMや現金処理機、舞台照明装置、サーマル・プリンタ、紡績・縫製機器、自動販売機などに適しています。
STSPIN830およびSTSPIN840は現在量産中で、QFNパッケージ(4 x 4mm)で提供されます。両製品とも、単価は1000個購入時に約1.25ドルです。
STM32オープンソース開発環境を使った製品評価および試作開発が可能なX-NUCLEO-IHM16M1(STSPIN830用)およびX-NUCLEO-IHM15A1(STSPIN840用)が提供されており、これらのSTM32 Nucleo拡張ボードの価格は16ドルです。