27 Nov 2017 | Geneva

STマイクロエレクトロニクス、自動化システムの小型化とスムーズかつ静かな動作を実現する先進的なモータ制御用ICを発表

  • ラボ自動化、産業用ロボット、3Dプリンタなど、正確な動作制御を実現する超高精度の小型モータ制御用IC
  • 信頼性を向上させる高い機能性と、電力を効率化する低消費電力性
Geneva / 27 Nov 2017

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、高精度なロボットの精密なモータ制御を実現する最新のモータ制御用ICを発表しました。

STマイクロエレクトロニクス、自動化システムの小型化とスムーズかつ静かな動作を実現する先進的なモータ制御用ICを発表

省スペースで洗練された先進的なラボ自動化システムの導入により、医療機関では、医療費と診療時間を削減して、より多くの患者に良質な医療を提供することができます。一方で、近年、3Dプリンタなどの産業用ロボット技術は、精度とスループットが大幅に向上しています。3Dプリンタは、複雑な形状の部品を高速かつ高精度に作製できるため、コンスーマ用途だけでなく、試作から生産まで使用される業務用途でも、低コスト化が進んでいます。

STのSTSPIN820は、ステッピング・モータを搭載した次世代ロボットをスムーズかつ静かに動作させるほか、小型化・高精度化・低消費電力化を実現します。高速入力と高精度マイクロ・ステッピング・アルゴリズムを備えた同製品は、1°以下の分解能でモータを回転させることができるため、3Dプリンタのヘッドを500mm/s以上の速度で動作させながら、サブミクロンの精度で高速に部品を作製し、非常に滑らかな表面仕上げを実現できます。また、次世代の医療自動化システムのサンプル搬送、キャップの開閉、保管や取り出しといった動作を極めて高い精度で制御できます。プレート・ハンドラー、流体ポンプ、血液分析器、人工呼吸器などのモータ駆動による医療機器においても、より静かな動作と小型化・高コスト効率を実現できます。

わずか4 x 4mmの同製品は、モータ駆動用の制御回路と完全に保護されたパワー素子(定格45V、500mΩのRDS(ON))を内蔵した、世界最小かつオールインワンの高精度モータ制御用ICです。自動化システムのメーカーは、同製品を制御回路基板に実装するだけで、最小限の追加部品でシステムを完成させることができるため、省スペース化とシステムの信頼性向上を実現できます。

STのインダストリアル & パワー・コンバージョン事業部ジェネラル・マネージャであるDomenico Arrigoは、次のようにコメントしています。「STSPIN820は、高精度の自動化システムの性能を継続的に向上させることができます。高精度で小型かつ低消費電力の同製品は、織機やミシン、セキュリティ機器、現金取扱い機器、オフィスおよび住宅のオートメーション機器、POS端末などの多様な機器において、高精度モーション・コントロールの簡略化に役立ちます。」

 

STSPIN820は現在量産中で、QFNパッケージ(4 x 4mm)で提供されます。単価は、1000個購入時に約1.25ドルです。

また、STSPINの関連ボードであるX-NUCLEO-IHM14A1は、2017年11月28-30日に開催されたニュルンベルクのSPS IPCドライブのSTブースで展示されました。

注記
STSPIN820は、256マイクロステップの分解能を備えたステッピング・モータ専用ドライバです。7V~45Vの電源電圧範囲で動作するため、幅広い機器の設計を簡略化します。1.5A(実効値)の最大出力電流により、パワーとトルクに対するさまざまな要求に柔軟に対応します。

STSPIN820は、ST独自の新しいスマート・パワー技術を活用することで、高性能と高コスト効率を両立しています。この技術により、高精度マイクロ・ステッピング・アルゴリズムを備えたモータ・コントロール・ロジックと、完全に保護された低RDS(ON)パワー段を1チップに集積しています。また、同製品は、一般的なステップクロック・ピンと方向入力ピンを備えているため、ホスト・プロセッサやマイクロコントローラとの接続も簡単です。

さらに、専用スタンバイ・ピンで低消費電力モードに切り替えることができるため、消費電力に制約のあるアプリケーションの消費電力を最小限に抑えます。

過電流や過熱の防止、短絡保護といった保護機能も内蔵されているため、産業機器が使用されるような過酷な環境下でも使用可能で、回路の簡略化に加えて部品点数および部材コストを削減できます。