究極のエッジ処理!機械学習コア内蔵センサで行動を分類

幅広いアプリケーションに有効活用できる機械学習コア

エッジ・コンピューティングでは、十分な処理量を確保しながら消費電力を抑えることが最大の課題です。STの機械学習コア(MLC)内蔵モーション・センサを活用すれば、トレードオフの関係にあるこの2つの要素を両立して、超低消費電力のIoT端末を開発することができます。IoT端末が超低消費電力になることで、バッテリ寿命は長期化し、バッテリ交換などのメンテナンス・コストも削減します。

 

機械学習 応用例

予知保全(振動検知)

産業用ロボット(傾斜角検知)

モータなどのアプリケーションでは、回転によって発生する振動をモニタすることにより、故障予知が可能です。

センサが検知した振動波形をMLCが判定し、故障モードが検知されるまで、マイコンなどのプロセッサはスタンバイ状態にでき、端末の低消費電力化が可能です。

STの高性能傾斜計にもMLCが搭載されており、高精度に傾斜角の測定が可能です。

MLCを使えば、フォークリフトなどの建設機械や産業用ロボット、無人搬送車の状態検知や、ビルや橋などにおいて、傾斜と振動をモニタリングすることで構造物の健全性を診断することができます。

ジム・アクティビティ検出

ヨガ・ポーズ検出

スマートウォッチをはじめ、自身のパフォーマンス測定やアクティビティを記録するアプリケーションは既に多くあります。

MLCがアクティビティを判定し、自動で登録することで、システムへのアクティビティ入力作業が無くなり、ユーザ体験が向上します。

MLCを搭載したセンサを足に装着することで、ヨガ・ポーズをMLCが判定します。

STがサンプルとして提供しているMLCのディシジョン・ツリーでは、12種類の異なるポーズを加速度センサの出力を用いて判定することができます。

自動車停止検出

ジム・アクティビティ検出

自動車の自立航法を支えるジャイロ・センサ。その出力にはオフセットというエラー成分が含まれています。そのオフセットは静止時に確認できるものであるため車両が停止していることをMLCが判定しその停止時にセンサのオフセットキャリブレーションを実施。位置測位の精度向上に貢献します。

ヘッド・マウント・ディスプレイやスマートグラスなど、ユーザ・インタフェースの拡張はユーザ体験の向上につながります。

頭に装着したシステムに搭載されたセンサで頭の動きをモニタし、その動きをMLCが分類することで、異なるコマンドを発生・実行することができるようになります。

シンプル & スピーディ!機械学習コアをすぐに活用できる無償ツールが充実

STのMLC内蔵モーション・センサを使えば、独自に機械学習アルゴリズムを作成し、アプリケーションに応じて最適なディシジョン・ツリーを構築することができます。STではログ・データの収集からディシジョン・ツリーの生成までをシンプルかつスピーディに実施できるGUI(Unico-GUI)を無償配布しています。STのGUIを使えばわずか5ステップでMLCを使ったIoT端末を開発することが可能です。プログラミングなどの作業は不要です。

シンプルかつスピーディなディシジョン・ツリー構築プロセスをぜひ動画でご覧ください。(https://youtu.be/FqXtciXfjzw

わずか15分でディシジョン・ツリーを作成する具体的な手順

 

モーション・センサに内蔵された機械学習コアで電子ペンの状態を検知

STの機械学習コア内蔵6軸モーション・センサを使用して、簡単なステップでディシジョン・ツリーを作成することができる実際の手順を紹介しています。

プロフェッショナルMEMSボード「STEVAL-MKI109V3」とアダプタ・ボード「STEVAL-MKI-197V1」、開発ソフトウェア「Unico-GUI」を使用し、電子ペンの状態認識を例に、わずか15分でディシジョン・ツリーを作成し、初期評価に着手することができます。

 

5ステップでディシジョン・ツリーを構築

5ステップ ソフトウェア ハードウェア

1. データ収集

最初のステップは、対象アプリケーションの代表的なモーション・データ・セットの収集です。センサ・データは、選択したセンサに応じて、ProfiMEMSボード(STEVAL-MKI109V3)をはじめとするさまざまな評価ボード、およびUnico-GUIソフトウェアを使用して収集することができます。収集するセンサ・データには、加速度 / 角速度 / 温度 / 大気圧 / 地磁気などがあり、アプリケーションによって異なります。

Unico-GUI STEVAL-MKI109V3

2. データのラベル付けとフィルタ、特徴量の演算

識別するべき結果に関連付けられたセンサ・データのパターンごとに、ラベルを割り当てます(「ジョギング」や「故障モード」など)。その後、演算ブロックで適用するフィルタと特徴量を選択します。特徴量とは、目的とするアプリケーションに合わせて、センサ・データ(またはフィルタされたデータ)に対して適用する統計パラメータです。

 

3. ディシジョン・ツリーの構築

データ・マイニング・タスク用の機械学習ツールを使用し、データ・セット内の特徴を機械学習することで、モーション・データから検出したい状態を認識するためのディシジョン・ツリーを構築します。Unico-GUIにはワンクリックで実行可能な機械学習アルゴリズムが搭載されており、特別な外部ツールは不要です。

4. MLC内蔵MEMSセンサへのディシジョン・ツリー読込み

Unico-GUIにより、機械学習の結果生成されたディシジョン・ツリーの情報を含んだ設定ファイルが生成され、動作確認の準備が整います。

STEVAL-MKI109V3

5. 学習済みのディシジョン・ツリーを使用して新しいデータを処理

最終的に、設定ファイルをデバイスに書き込むことで、ディシジョン・ツリーを実行してモーション・データの分類結果を確認することができます。

 

技術ドキュメント : ディシジョン・ツリー開発のヒント

さまざまなメリットを持つエッジでの機械学習ですが、標準的なプログラミングの方法論とはアプローチが大きく異なるため、機械学習の応用に興味があっても、開発が難しいのではと二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。

この技術ドキュメントでは、機械学習プロジェクトの開発ステップ、開発の要所、STが提供する機械学習コア内蔵MEMSセンサの活用メリットに加え、ディシジョン・ツリー開発のヒントについて詳細に解説しています。

詳細はこちら

 

開発ツール

ハードウェア

•  プロフェッショナルMEMSツール マザーボード STEVAL-MKI109V3

•  LSM6DSOX(6軸IMU)アダプタ・ボード STEVAL-MKI197V1

•  LSM6DSRX(6軸IMU)アダプタ・ボード STEVAL-MKI195V1

•  ISM330DHCX(産業機器向け6軸IMU)アダプタ・ボード STEVAL-MKI207V1

•  IIS2ICLX(高精度傾斜計)アダプタ・ボードSTEVAL-MKI209V1K

 

ソフトウェア

•  Linux / Mac OS X / Windows用MEMSセンサ評価キット・ソフトウェア・パッケージUnico-GUI

•  Unico-GUIユーザ・マニュアル

 

関連情報

•  MEMSセンサによる機械学習システム用開発エコシステム

•  The ST blog