単相ACモータの概要
コイルを1つ備えた単相モータは、最もシンプルなACモータですが、モータを始動させるメカニズムを必要とします。単相誘導モータは、この始動メカニズムによって、くま取りコイル型、分相始動型、コンデンサ・モータの3つの主要なタイプに分かれています。
主コイルと補助コイルという2つのステータ・コイルによってモータが始動します。コンデンサを補助コイルと直列に接続すると、両方のコイルを流れる電流に位相差が生まれ、これにより回転を始動するトルクが生成されます。
始動用電解コンデンサは、補助コイルと主コイルの間で最良の位相角を得るために使用され、モータが全負荷速度の75%に達すると始動回路から切り離されます。短時間の使用を目的として設計されているため、必要以上に使用すると問題が発生する可能性があります。そのため、正確な制御が不可欠です。
主なタイプ
くま取りコイル型誘導モータ
くま取りコイル型モータには、かご形ロータが使用されており、小型モータの場合には、通常1/20馬力~1/6馬力をもちます。また、ステータの各角にくま取りコイルと呼ばれるコイルが配置されています。くま取りコイルはステータに巻かれているだけですが、誘導電流を生成します。これにより磁界が抑制され、モータを回転させる低いトルクが発生します。
分相始動型誘導モータ
分相始動型誘導モータは、連続運転用の主コイルと始動用の補助コイルの2つのコイルをもちます。一般的に、最大1/3馬力で動作し、シーリング・ファンの羽や洗濯機、石油炉の送風機モータ、小型ポンプなどの駆動に使用されます。
はじめに高出力の始動用補助コイルで75%から80%の速度まで回転数を上げた後、遠心スイッチなどによって電力消費が少ない、低出力の主コイルによる駆動に切り替わります。
ACモータに関する注意事項
単相ACモータは、さまざまな分野で幅広く使用されています。家庭用または軽工業用の商用電源によって稼動しているモータの大部分は単相モータです。アプリケーションに応じて、適切なモータのサイズを選ぶことがきわめて重要となります。設計に対して十分なトルクを生成できないモータを使用した場合、常に最大出力で駆動し続けることになり、部品にかかる負荷が増して過剰な熱が発生します。また、モータが大きすぎる場合には、動作効率が悪化して電力消費が増えます。
ただし、単相電源を使用して、3相可変周波数電源を生成し、3相誘導モータを駆動することもできます。
単相誘導モータの駆動では、出力トルクの定常的な変動であるトルク・リップルが発生する場合もあります。トルク・リップルは多くの場合、モータの制御性を示すために、その最大値と最小値の間の差がパーセントとして表されます。
また、単相誘導モータは、複雑なセンサレス·アルゴリズムを実装するための十分な情報を持たないため、障害検出には、一般的にセンサが必要となります。