電気回路の電流および電圧を測定するために設計されたエネルギー･メータは、住宅や工場、オフィスなどの電力消費（1時間あたりのキロワット）をモニタリングするための便利なツールです。

省エネルギーで環境に配慮した取り組みや規制の増加に伴い、スマート･メータの需要も増加しています。

完全なシャント電流センサによる3相メータ設計

このソリューションは、各相および累積の有効広帯域電力、有効固有電力、無効電力、皮相電力、エネルギー・データなどのフル･セットの計測パラメータを提供します。各電圧および電流信号のRMSおよびオプションで歪み（THD）の計算を実行します。また、各相のDC測定、ライン周期、位相シフト、相電圧遅延も実行します。

STM32F4マイクロコントローラ（マイコン）の6つのΣΔ型モジュレータ用デジタル・フィルタ（DFSDM）を活用して、すべての電圧と電流のSDビットストリームをリアルタイムに並行処理し、電力とエネルギー測定用の各信号の帯域幅2.5kHzと高度なタイミング分解能を保証します。また、STM32F4マイコンは、6000Vインパルス耐電圧（V_IOTM）および1200Vの最大繰り返し絶縁電圧（V_IORM）を保証するデュアル･チャネル･デジタル･アイソレータSTISO621Wによる絶縁用の2本の線のみを使用して、STPMS2のモジュレータと接続可能です。

ソリューションの仕組み

Arm® Cortex®-M4 32bitコアをベースにした高性能マイコンSTM32F4は、専用DFSDMを設定することで同期されたクロックを3つのSTPMS2に分配します。

24bitの二次ΣΔ型モジュレータをデュアル･チャネル搭載した低コストのスマート･メータリング･アナログ･フロントエンドIC「STPMS2」は、分圧器とシャント電流センサを通じて各相の回路の電圧と電流をそれぞれ測定します。モジュレータは、STM32F4の4MHzクロックを使用して信号をオーバーサンプリングし、電圧と電流のΣΔ型ビットストリームを単一のピンに多重化して出力します。低ノイズかつ低オフセットのプログラム可能なチョッパスタビライズド･アンプにより、STPMS2は幅広い信号の高精度な変換を実現します。高精度モードでも消費電力はきわめて低く（4MHzの動作時で4mA）、低消費電力モードではさらに消費電力を低減することができます（1MHzの動作時で1.2mA）。

STM32F4のDFSDMは電圧と電流を逆多重化し、専用のフィルタを使用して量子化ノイズを除去し、「低速」の24bitデジタル信号を供給します。

変換された電圧と電流の信号から、STM32F4の内蔵デジタル･シグナル･プロセッサ（DSP）と浮動小数点ユニット（FPU）が全計測データを200µsごとにリアルタイムで計算します。また、その他の計測アプリケーションのための余地も残します。

過酷な環境に適したシュミット･トリガ入力型のデュアル･チャネル･デジタル･アイソレータSTISO621Wは、ノイズに対する堅牢性とハイスピードの入出力スイッチング時間を実現します。このソリューションでは、3つのSTISO621Wを使用して、STPMS2、STM32F4間のクロック信号およびデータ信号を安全かつ高速のドメイン間データ転送（最大100Mbit/s）で効率的に絶縁します。また、長期の耐用期間を実現するとともに、障害時にも絶縁の完全性を維持します。