RFフロントエンド・モジュール(FEM)は、4G LTE-A / 5Gスマートフォンおよび基地局における最も複雑で重要な設計の1つです。FEMは、アンテナとRFトランシーバ間のインタフェースとして機能し、複数のRFスイッチ、低ノイズ・アンプ(LNA)、パワー・アンプ(PA)、アンテナ・チューナなど、アナログ性能の確保に必要なRFコンポーネントを集積しています。
複数のアンテナ素子(または高次のMIMO)や複数帯域の使用が拡大し、キャリア・アグリゲーションの必要性も高まる中で、5G FEMの複雑さと集積度は増大しています。そのため、最新のスマートフォンやRFインフラストラクチャにはますます多くのRFシリコン・デバイスが内蔵されるようになっています。
STは、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)技術に関する高度なノウハウを活用して、H9SOIFEMノードとC65SOIFEMノードを含む包括的なRF-SOI技術のポートフォリオを開発しました。STのRF-SOI技術は特殊なプロセスであり、4G、5G、2.4~5GHz RF接続および狭帯域IoT(LTE Cat NB1)デバイス用のRFフロントエンド・モジュールに求められる厳しいアナログRF性能と集積化の要件を完全に満たすように最適化されています。
H9SOIFEM技術の主要アプリケーションは、スイッチ性能とRFの集積度が重視される4G LTE-Advancedおよび5G Sub-6GHz RF FEMなどです。また、2.4~5GHzおよび狭帯域IoTデバイス用のRF FEMの要件にも対応しています。H9SOIFEMプロセスは、130nm技術ノードに基づいて開発され、8インチ・ウェハで製造されます。
このプロセスはRFスイッチおよびLNA用に最適化されたMOSFET、PA用に最適化された高ブレークダウン電圧N型横方向拡散MOS(NLDMOS)など、複数のアクティブ・デバイスをサポートし、すべての主要なRFコンポーネントに対応します。また、大電流/高Qインダクタ、高抵抗値ポリ抵抗、キャパシタ、RFダイオード、RFバラクタなどの受動部品の選択も可能です。
さらに、プロセスの複雑さにかかわらず性能と柔軟性を確保するために、複数のバックエンド・スタック・オプションが利用できます。最上層に厚膜銅配線層を実装することで、伝送ラインおよびインダクタンス性能を改善することも可能です。
C65SOIFEMは、5G Sub-6GHz帯域全体にわたってLNAの性能を確保できるように最適化されており、スイッチ機能の集積化という重要な付加価値を提供します。C65SOIFEMプロセスは、65nm技術ノードに基づいて開発され、12インチ・ウェハで製造されます。また、5G Sub-6GHz帯域用に最適化された低のノイズ高速1.2V MOS(fMAX = 200GHz)に対応します。このデバイスは、4 x 4 MIMOおよびマルチバンドの要件に伴う、レシーバのダイバーシティと主要アンテナ経路の両方におけるLNAニーズの高まりに対応します。
主な利点として、C65SOIFEM技術では、ほとんどの5G UHB Rx FEMでもとめられるLNAとスイッチの集積化が可能になります。また、Sub-6GHz帯のRFスイッチやLNAに最適化されたMOSFETなどのアクティブ・デバイスや、スパイラル・インダクタ、RFダイオード、キャパシタ、高値ポリ抵抗などの受動部品用の幅広いオプションも特徴としています。ライン・スタックのバックエンドは、低損失の伝送ラインと高Q値のインダクタンスに対応して完全に銅製となっています。