SL-SSISE011302V1

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Design Win

NFCを使用したLoRaWANプロビジョニング・ソリューション

ソリューション概要

IoTおよびIIoTアプリケーション向けの魅力的な通信ソリューションであるLoRa®は、少量のデータを長距離送信できる低消費電力のワイヤレス通信技術です。LoRaWANプロトコルを中心に構築されたLoRaデバイスは、それぞれ一意のID(DevEUI)と一意のセキュリティ・マスタ・キー(AppKey)を持つ必要があります。AppKeyからは、整合性と真正性の確認に使用される「ネットワーク・セッション・キー」(このキーでデータの署名が行われます)と、機密保持に使用される「アプリケーション・セッション・キー」(このキーでデータの暗号化が行われます)が供給されます。

セキュリティ・キーとIDはデバイスごとに一意であり、これまでは、デバイスをアクティベーションする前にメーカでプロビジョニング(デバイスのメモリ内およびJoinサーバ上に保存)されていました。このソリューションではコストがかかるうえ、柔軟性がありません。STの提案するソリューションでは、NFCダイナミック・タグの双方向通信機能により、ランタイムでのデバイスへのプロビジョニングを可能にし、製造を簡素化できます。

LoRaデバイスをゲートウェイやネットワーク・サーバへ登録する従来の方法

これまでは、DevEUIやJoinEUI IDを示すために製品にQRコードが追加されてきました(セキュリティ・キーは秘密でした)。

ユーザは、デバイスを取得した後、メーカが提供する承認済みのAndroid / iOSモバイル・アプリをインストールする必要がありました。このアプリにより、ユーザはLoRaデバイス上に表示されるQRコードをスキャンするよう促されます。

その後、JoinEUIパラメータを使用してアプリからJoinネットワークへの通信が行われ、接続すべき適切なJoinサーバが特定されます。Joinサーバは、このDevEUIに関連付けられているAppKeyを知っているので、AppKeyの情報をネットワーク・サーバとアプリケーション・サーバに伝達します。ネットワーク・サーバは、AppKeyからネットワーク・セッション・キーを取得します。一方、アプリケーション・サーバは、AppKeyからアプリケーション・セッション・キーを取得します。

次に、LoRaデバイスは、LoRaゲートウェイに接続し、OTAA(Over The Air Activation)を行います。このアクティベーションの後に、新しいデバイスがLoRaネットワークに接続され、通信が開始されます。

オンボード・プロセスを簡素化し、コスト効率を高めることで、ユーザ体験を向上

STの提案するNFCを利用する方法では、ST25DV64KCダイナミックNFCタグをLoRaデバイスに組込み、超低消費電力ワイヤレスSTM32WL5 SoC(LoRa®変調をサポートしています)と接続します。

まず、LoRaプロビジョニング・アプリが稼働しているNFC対応のスマートフォンを使用してLoRaデバイスをタップし、デバイスの一意のID(DevEUI)を取得し、それをLoRaWANネットワーク上で登録します。

その後、LoRaWANサーバから一意のマスタ・キー(AppKey)が携帯のアプリに返送されるので、アプリがそのキーをLoRaデバイスの不揮発性メモリにプログラムします。これで、LoRaデバイスは、LoRaゲートウェイに接続してOTAA(Over The Air Activation)を行えるようになります。このアクティベーションが済むと、新しいデバイスはLoRaネットワークに接続されます。

プロビジョニング方法

場所

制限 / コメント

コスト

QRコード

工場で

固定キー

キーを保存するHSM

Bluetooth® Low Energy

現場で

Bluetoothスタック(HWおよびSW)

NFC

現場で

工場最終時点ではデバイスは汎用のまま

  • All Features

    • 先進的な機能
      • 高速転送モード(FTM)
      • TLS / SSLを介したセキュアHTTPSリクエスト
      • キーをLoRaデバイス内にプログラミング
      • LoRa通信
      • MQTT通知
    • 優れた性能
      • NFCを使用したプロビジョニングは、他の方法よりも柔軟性が高く、コスト効率の高い方法です
      • NFCにより、携帯アプリ(Android、iOS)の自動インストールが可能です
      • (インストール時点での)GPS位置を登録できます
      • エンド・ユーザによるキー・プロビジョニングで量産前検証を簡素化できます
      • コンタクトレス・インタフェースにより、筐体の密閉(ガス・メータなど)が可能です
      • サービス・エンジニアにデバイスのログを提供することで、可視性を高められます
      • NFCにより、診断、設定、ファームウェア・アップグレードといったユース・ケースにも対応可能になります
    • コスト面でのメリット
      • 生産ラインの最終段階でのキー・プロビジョニングが不要になりました(コスト節約)
      • 生産されたすべてのLoRaデバイスに関連付けられているキーをHSMに保管しておく必要がなくなります
      • キーのプロビジョニングは製品ライフサイクルに合わせて更新できるため、同じデバイスを他のLoRaネットワークで再利用できます
      • 認証
      • NFCフォーラムの認証を受けた製品(ST25DV64KC)-> 携帯電話との相互運用性が保証されています