Bluetooth® Low Energy、ZigBee®、Thread®、およびMatterコネクティビティに対応した、デュアルコア搭載のマルチプロトコル・ワイヤレスSoC「STM32WB」
64MHzで動作するArm® Cortex®-M4コア(アプリケーション・プロセッサ)と32MHzで動作するArm® Cortex®-M0+コア(ネットワーク・プロセッサ)をベースとするSTM32WBワイヤレスSoCは、自己完結型のソリューションです。無線機能と汎用マイクロコントローラを単一のシステム・オン・チップ(SoC)に組み込んでいます。
IEEE 802.15.4規格:ZigBeeおよびThread
- IEEE 802.15.4 MACレイヤ:あらゆる独自プロトコルを実装できます。
- ZigBee(ZigBee PRO 2017):STM32WBは、小型パッケージですべてのZigBeeネットワーク・トポロジをサポートします。ZigBee RFDおよびFFDは、エンドデバイス、コーディネータ、ルータの役割を担います。
- OpenThread:本テクノロジーは、すべてのMTD、FTD、ボーダー・ルータでサポートされています。スリーピー・エンドデバイス(SED)、ルータ、リーダーの役割に対応しているため、ゲートウェイ装置も構築可能です。
また、いくつかの認証済み設定を利用できるため、高い設計自由度を実現することができ(デバイスのサイズやOTA機能)、プラットフォームの最適化が可能です。
Matter
STM32WBシリーズでサポートされるMatterは、アプリケーション・レイヤで、スマート・ホーム機器の相互運用性を実現することを目的としています。
オープンソース規格であるMatterは、異なるIP通信方式にまたがる通信機器間の相互接続を実現します。これはMatter GitHubで公開され入手可能です。
Matterネットワークでは、Bluetooth® Low Energyはデバイスのコミッショニングに使用されます。同時動作モードにてThreadプロトコルを介して実行されます。
同一のマイクロコントローラ上で複数のプロトコルが動作
STM32WBマルチプロトコル・ワイヤレスSoCは、同時モードに対応しているため、802.15.4ワイヤレス・プロトコルであるZigBeeやOpenThreadをBluetooth® Low Energy 5.4と同時に実行することができます。
これにより、導入時および設定時のデバイス・マネージメントの利便性が大きく改善され、ユーザの利便性が大幅に向上します。
アプリケーション:
製品タイプ
STM32WBワイヤレスSoCは、2つの独立したコアをベースとしています。無線スタックのリアルタイム実行の効率が高く、消費電力を節約できます。
STM32WBワイヤレスSoC・シリーズは、超低消費電力STM32L4マイクロコントローラとして同一のデジタル・ペリフェラルとアナログ・ペリフェラルを提供しています。バッテリ駆動のデバイスや複雑なアプリケーションに対応できます。
- STM32WBx5ラインは、水晶発振子不要のUSB 2.0フルスピード・インタフェース、Quad SPI、オーディオ・サポート、LCDドライバ、タッチ・センシング機能といった通信機能が組み込まれています。最大72個のGPIO、消費電力を最適化する統合スイッチモード電源(SMPS)、およびバッテリ寿命を最大化する複数の低消費電力モードも備えています。STM32WBx5ワイヤレスSoCは、産業用からコンスーマまでさまざまなアプリケーションに対応できます。
- STM32WBx0バリュー・ラインは、エントリレベルのソリューションを実現します。温度範囲を狭めながら、最適化されたペリフェラル・セットを特徴としています。
- STM32WBxM認証モジュールでは、STM32WBx5ワイヤレスSoCを搭載しリファレンス設計付きでLGAパッケージに組み込まれています。さまざまな国や地域をカバーし、すべてのプロトコルとEMC認証に完全準拠しています。モジュールのピン配置構成を変更できるため、エントリ・レベルの製品向けに基本機能セットを使用して製造コストを抑えることができます。一方で、ハイエンド製品向けにはすべてのピン配置の使用を選択できるため、より柔軟な設計が可能となります。
2.4GHz無線対応STM32ワイヤレスSoCの製品ポートフォリオは、製品構想から試作段階、最終的なプラットフォーム構成設計まで、包括的なソリューションを提供します。
セキュリティ機能
STM32WBシリーズのマSoCに内蔵されているセキュリティ機能は、デバイスのメンテナンスの必要性を軽減すると同時に、エンド・デバイスの信頼性を向上させ、クローニングを防止します。
256bit AESハードウェア暗号化エンジン、独自仕様コード読出し保護機能(PCROP)、読出し / 書込み保護、JTAGヒューズ、楕円曲線暗号エンジンによる公開鍵暗号などの暗号化IPを内蔵しています。また、ファームウェア更新サービス(FUS)により、セキュアな無線スタック更新や暗号鍵管理、コード保護が可能です。
カスタマー・キー・ストレージ(CKS)によりアプリケーション・コードやIPを確実に保護できます。
開発エコシステム
STM32WB55 Nucleoパッケージ、STM32WB Nucleo開発ボード、STM32WB Discoveryボード、およびSTM32Cube開発エコシステムが提供する包括的なハードウェア / ソフトウェア・ツールにより、アプリケーション開発を簡単に始めることができます。
NUCLEO-WB5ボードでは、さまざまな製品設定や広範なワイヤレス・アプリケーションを検証できます。
B-WB1M-WPAN1コネクティビティ拡張ボードには、STM32WB1Mモジュールや、センサ、加速度センサといったIoTアプリケーションに適したペリフェラルが組み込まれています。また、柔軟性の高い電源オプションも提供しています。
STM32WB5MM-DKディスカバリ・ボードにはSTM32WB5Mモジュールや、タッチ・センシング、外部Flashメモリ、オーディオ・チェーンといったIoTアプリケーションに適したペリフェラルが組み込まれています。
また、実績あるSTM32Cube開発エコシステムと完全に統合済みのSTM32WB評価ボードに加え、包括的な組込みソフトウェア・リソースおよび開発ツールがセットで提供されています。
- STM32CubeWBマイコン・パッケージ
- HAL & LLペリフェラル・ドライバ
- ミドルウェアおよび無線スタック(Bluetooth® Low Energy 5.4、OpenThread、およびZigBee)の全セット
- Keil® MDK-ArmやIARシステムといったいくつかの人気あるIDE向けに事前設定されたさまざまなサンプル・ソフトウェア
- STM32CubeMXマイクロコントローラの初期化、設定、およびコード生成ツール
- すべてのプロトコルに対するRF性能をテストし、モニタし、検証するSTM32CubeMonRFソフトウェア・ツール
STM32WB評価ボードは、既存のサンプルに基づいてアプリケーションを開発し、テストできる内蔵型デバッガを備えています。また、STLINK USBコネクタや長寿命のバッテリ・セルといった多くの内部電源オプションも付属しています。外部ソースを使用してボードに電力を供給することも可能です。
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メリット
- 統合ソリューションと、無線機能やワイヤレス・アプリケーション・マイクロコントローラ・プロセッサを組み合わせて設計を合理化
- Bluetooth® Low Energy 5.4テクノロジーを活用し、革新的なデバイスを作成
- 10dBmを超える出力電力で、通信範囲を拡張
- デバイス通信用拡張アドバタイズ機能で、バッテリ寿命を長期化
- 高速で信頼性の高いデータ転送を保証
- アプリケーションの効率を向上(407 CoreMarkスコア)
- IPとプライバシーを保護(SESIP3認証対象)
- 市場で実績のあるSTM32Cube開発エコシステムにより、開発期間を短縮