STM32 D-Power開発エコシステム
STM32 D-Power製品ライン
STM32F3、STM32G4、および高性能STM32H7マイクロコントローラ・シリーズには、デジタル電源の設計を可能にする一連の機能が搭載されています。
STM32F334、STM32G4x4、STM32H74xおよびSTM32H75xマイクロコントローラの製品ラインは、内蔵された高分解能タイマ(HRTimer)により柔軟性の高い強力なパルス幅変調(PWM)出力を提供することで、184psの分解能を実現しています。
内蔵されたHRTimerは、高い分解能に加え、波形生成およびイベント・ハンドラ機能を備えています。
高分解能
- 184ps(STM32G474)または217ps(STM32F334)
- 内部接続または個別に動作するユニットで構成される、最大12チャネルのタイマ
- 電圧、温度などの偏差によらず、すべてのチャネルで常に高い分解能を実現
波形生成およびイベント・ハンドラ
- ソフトウェアの使用を最小限に抑えた高度なPWM波形生成
- ハードウェア・バーストモード・コントローラ、自動遅延モード、外部イベント・ウィンドウ処理、遅延および再有効化バランス・アイドル、スロープ補正、バレー・スキップ、保護スキームなどのスマート機能
- タイマごとに割り当て可能なDMAチャネル
- 1つのパラメータを変更するだけで複数のイベントを変更可能(タイマ・チェーン)
- 複雑なイベント管理
- 12個または10個の外部イベント入力と最大6個のフォールト入力
- 多数の相互接続
進化し続けるSTM32 D-Power開発エコシステム
STM32 D-Power開発エコシステムは、デジタル電源分野の初心者から専門的な開発者に至るまでの幅広いニーズに対応できるよう構築されています。
ステップ1 - 初心者向けデジタル電源
次の2つのビデオを視聴して、デジタル電源の基礎をご確認ください。
次のウェビナーでは、デジタル電源に関する内容をご紹介します。
ステップ2 - デジタル電源開発用ディスカバリ・キット
ハードウェア | 写真 | 説明 | アプリケーション・ノート |
STM32G474ディスカバリ・キット | B-G474E-DPOW1ディスカバリ・キットは、STM32G474RET6マイクロコントローラをベースとして、HRTimerの性能を活用したデジタル電源ソリューションです。すべて網羅したデモンストレーションと開発プラットフォームを提供します。 | AN4539:HRTIM説明書(クック・ブック) | |
STM32F334ディスカバリ・キット | F3348DISCOVDRYキットを搭載したSTM32F334マイクロコントローラ・ラインにより、デジタル電源アプリケーションを構築できます。 | AN4449:バックブースト・コンバータ |
ステップ3 - プロジェクトを次のレベルに引き上げるハンズオン・ワークショップ
STM32を使用した、デジタル電源およびPFC設計ワークショップ
STは、Biricha社と協力し、STM32開発エコシステムをベースに、デジタル電源アプリケーションの設計に関する専門的なトレーニングを提供しています。
最新の業界ニーズに対応し、電圧・電流モードでのDC-DCおよびデジタルPFCアプリケーション向けの、安定したデジタル電源の設計、コーディング、実装、およびテスト方法を解説します。
ステップ4 - PSUおよびPFCソフトウェア開発キット
PSUおよびPFC向けのデジタル・ソリューションを開発するために役立つ、STのPCソフトウェア・ツール・セットと組込みソフトウェアのサンプルを紹介します。
ST認定パートナーのBiricha社は、STM32Cubeと互換性のある2つの使いやすいソフトウェア・ツールを開発しました。これにより、すべてのデジタル・クローズド・ループ係数を計算し、トポロジを一致させ、PSUとPFCの設計を迅速に安定させることができます。
STM32CubeMXで提供されるX-CUBE-DPOWERソフトウェア・パッケージには、組込みのソフトウェアのサンプル(降圧 / 電流モードと降圧 / 電圧モード)が含まれています。これは、B-G474E-DPOW1および32F3348DISCOVERYディスカバリ・キットで実行できます。
- 次のトポロジを利用できます。
- インタリーブ型ブーストPFCコンバータ(平均電流制御モード)
- 電圧 / 電流出力が一定のフルブリッジ位相シフトDC-DC
- 降圧 / 昇圧PSUコンバータ(電圧 / 電流制御モード)
- PIDまたはポール・ゼロ(2P2Z、3P3Z)補償回路をベースにした制御ループ
- 性能と安定性を向上させる高度な制御ループ
- Type3コントローラのデジタル実装
- Biricha Digital社のST-WDS / ST-PLDツール(STM32ユーザ向けの無償版)を使用して生成される係数
以下に、お客様の設計を前進させるために役立つツールとリソースをご紹介します。
リソース | 説明 |
X-CUBE-DPOWER | STM32CubeMX GUIから直接スタートアップ・プロジェクト・ファイルを生成し、アプリケーションに応じてライブラリを初期化するための拡張パッケージです。 |
STM32CubeG4 | HAL、ロー・レイヤAPI、CMSIS、USB、ファイル・システム、RTOS、グラフィックス、およびSTのボード上で動作する各種サンプル(STM32G4マイクロコントローラ・シリーズ向け) |
STM32デジタル電源ワークベンチ | この設計ツールは、複雑な電力コンバータの設計を簡素化します。ユーザは、STM32G4マイクロコントローラを使用して完全なデジタル制御を実現し、さまざまなトポロジを評価、分析、カスタマイズできます。 |
STM32CubeMX | STM32CubeMXは、あらゆる業界のハードウェア・エンジニア、組込みソフトウェア開発者、および研究開発チームが簡単にプロジェクトを進められるようにします。 |
STM32CubeIDE | STM32CubeIDEは、ソフトウェア開発サイクルのすべてのタスクを簡略化することで、アプリケーションの導入を加速させます。 |
STM32CubeProgrammer | STM32製品のプログラミングに対応したオールインワンのマルチOS対応ソフトウェア・ツールです。デバッグ・インタフェース(JTAGおよびSWD)とブートローダ・インタフェース(UART、USB DFU、I2C、SPI、CAN)の両方を介し、デバイス内蔵メモリの読出し、書込み、検証に便利な環境を提供します。 |
STM32CubeMonitor | STM32CubeMonitorツールは、リアルタイムでデータを可視化することにより、ユーザが実行時にSTM32アプリケーションの性能を評価できるようにします。 |
デジタル電源カタログ | 代表的なデジタル電源管理アーキテクチャとデジタル電源の設計に必要な構築要素について詳しく説明しています。 |
ステップ5 – ターンキー・ソリューション
STのツール、開発ボード、リファレンス設計は、PSUおよびPFCアプリケーション向けのデジタル設計を次のレベルへ引き上げるために役立ちます。
デジタル電源ワークベンチ – eDesignSuiteで提供
STM32G4マイクロコントローラで完全なデジタル制御を実現し、さまざまなトポロジの設計を評価、分析、カスタマイズできます。
- サポート対象トポロジ(AC-DC、DC-DC)
- ZVSインタリーブ型トーテム・ポール、ウィーン整流器、T型3レベル・コンバータ
- FB LLC
ハードウェア | 写真 | 電源 | 出力電圧 | PFC | DC-DC | コメント | ||
トポロジ | 制御モデル(PIDまたはType 2) | トポロジ | 制御モデル(PIDまたはType 2) | |||||
STEVAL-ISA172V2 | 2kW | 48V | 2チャネル・インタリーブ型CCMブースト | PID | SR搭載ZVS位相シフトFB | PID | ||
STEVAL-DPSLLCK1 | 3kW | 48V | 該当なし | 該当なし | SR搭載FB LCC | PID | DC-DCコンバータ | |
STEVAL-ISA147V3 | 500W | 12V | デュアルブースト・セミブリッジレス | PID | SR搭載HB LCC | PID | STM32F051ベースのPFC | |
STEVAL-DPSTPFC1 | 3.6kW | 400V | トーテム・ポール・ブリッジレス | PID | 該当なし | 該当なし | PFCコンバータ | |
STEVAL-LLL009V1 | 300W | 48V | TMブースト | アナログ制御 | SR搭載HB LCC | PID | CCおよびCV操作 | |
STDES-PFCBIDIR | 15kW | DC電圧:800VDC / AC電圧:400VAC @ 50Hz | トポロジ:3相3レベル双方向AC-DC、DC-AC電力コンバータ | PID | 該当なし | 該当なし | STDESリファレンス設計は現在提供していません。ただし、試作開発のサポート向け技術文書は入手可能です。 |
組込みサンプル・ソフトウェアは、「標準のPIDモデル」を実装しているため、これらのトポロジですぐに使用できます。また、安定性と性能を向上させる目的で、Biricha社のPCソフトウェア・ツールでサポートされているモデルとマッチするように近日アップデートが施される予定です。