差し迫った機器故障の前兆を監視したい設計者にとっては、予知保全アプリケーション用の信頼性が高いバッテリ駆動のセンサ・ノードをどうすれば構築できるかが課題となっています。例えば、STM32でAIモデルを実行すれば、マイクロコントローラ・レベルでの監視が可能です。しかし、センサ・レベルでモデルを実行することで、消費電力をさらに改善できます。
このユースケースでは、
インテリジェント・センサ処理ユニット(ISPU)搭載MEMSセンサで実行される異常検出ソリューションを簡単に構築する方法を紹介します。
アプローチ
ISPUを使用すると、センサ内で異常検出を直接実行できます。ISPUによって異常が検出されると、センサは割り込み信号を生成してホスト・プロセッサをウェイクアップし、詳細な分析を実行できます。
ここでは、
NanoEdge AI Studioを使用してAIライブラリを生成しました。 NanoEdge AI Studioは、異常検出ソリューションを構築するための迅速かつ直感的なアプローチを提供し、一連の正常信号と異常信号のさまざまな組み合わせの中から最適なライブラリを見つけることができます。
次のように作業を進めました。
- まず、さまざまな挙動(正常挙動と異常挙動など)を検出するために、ファン・コイルのさまざまな動作モードで加速度データを収集しました。
- 次に、NanoEdge AI Studioで異常検出プロジェクトを作成し、正常信号と異常信号の両方をインポートしました。
- ツールにより、与えた信号に基づいて最適なライブラリを探索し、生成しました。
- NanoEdge AI Studioで生成したライブラリのテストと統合には X-CUBE-ISPUソフトウェアパッケージを使用しました。
使用するすべてのハードウェアとソフトウェアが記載された完全なステップバイステップガイドは
こちらをご覧ください。 センサ
6軸慣性測定ユニット(IMU):ISPU(インテリジェント・センサ処理ユニット)を内蔵した常時動作を可能とする3軸加速度センサおよび3軸ジャイロセンサ(リファレンス:
ISM330IS)。
データ
異常検出プロジェクトのデータ・ログは、NanoEdge AI Studioのデータロガー機能を通じて収集しました。データ収集には次のパラメータを使用しました。
- データレート(Hz):416Hz
- 範囲(g):2g
- 1軸当たりのサンプル・サイズ:128
- 軸の数:3
結果
精度:98.57%、使用RAM:5.5KB、使用Flashメモリ:5.4KB