ESDプロテクション内蔵EMIフィルタ

ESDプロテクション内蔵EMIフィルタの構造

EMIフィルタは、ESD保護ダイオードを組み合わせたローパスバンドパス、またはハイパス・フィルタです。アプリケーションによっては、プルアップ / プルダウン抵抗も内蔵されています。

STのESDプロテクション内蔵EMIフィルタは、ESDサージからデータラインを保護し、EMIノイズを除去します。これらは、設計者が2014/30/EU指令と技術規格EN 55032 / CISPR 32*およびEN 55035 / CISPR 35**への準拠を確実にできるよう貢献します。

*マルチメディア機器の電磁両立性:エミッション要求事項
**マルチメディア機器の電磁両立性:イミュニティ要求事項

EMIフィルタのアプリケーション

EMIフィルタは、メモリ・カード内のデータライン、USBロースピード / フルスピード・インタフェース、マイク、スピーカ、ディスプレイそして多目的インタフェースなどのアナログ・アプリケーション向けのロースピード・デジタル・インタフェースを対象としています。

メモリ・カード・インタフェース用のEMIフィルタとESDプロテクション

メモリ・カード
  • 携帯電話
  • ウェアラブル
  • ドローン

USBインタフェース用のEMIフィルタとESDプロテクション

USB
  • 携帯電話
  • ウェアラブル
  • 産業用機器
  • コンピュータ
  • ドローン

ヘッドセット・スピーカ用のEMIフィルタとESDプロテクション

マイク & スピーカ
  • 携帯電話
  • ウェアラブル
  • コンピュータ

ディスプレイ用のEMIフィルタとESDプロテクション

ディスプレイ
  • 携帯電話
  • ウェアラブル
  • コンピュータ
  • 産業用機器
  • 気象観測所
  • ロボット掃除機

EMIフィルタの仕組み

EMIフィルタは、電子機器内の電磁ノイズを抑制する電子部品です。ローパス・フィルタとして設定される受動部品の複数ポート・ネットワークで構成されます。有効な信号はほぼ、あるいはまったく減衰せずに流す一方で、電磁ノイズを許容レベルまで減衰します。EMIフィルタは、電気配線を伝わる電流から電磁ノイズを発生させる可能性がある有害な周波数のみを抽出します。

EMIフィルタの種類

以下のアプリケーションに対応するために各種ESDプロテクション内蔵EMIフィルタが提供されています。

  • スピーカとマイク
  • SIMおよびSDメモリ・カード・インタフェース
  • USBインタフェース
  • ディスプレイまたは多目的アプリケーション

STのEMIフィルタは、R-C(1次)またはL-C(2次)のπ型受動フィルタを特徴としています。

EMIフィルタの用途とメリット

STの高集積EMIフィルタは、ディスクリート構成によるソリューションと比べ、寄生インダクタンスが低いため、PCB設計の小型化周波数除去範囲の拡大を可能にします。したがって、PCBレイアウトの変更時に、より柔軟な設計が保証されます。ディスクリート構成によるソリューションとは異なり、内蔵EMIフィルタはフィルタの共振周波数を変更しません。

ESDプロテクション内蔵EMIフィルタは、主に以下のアプリケーションに使用します。

  • アナログ・アプリケーションのロースピード・デジタル・インタフェース
  • メモリ・カードのデータライン
  • USBロースピード / フルスピード・インタフェース
  • マイク
  • スピーカ

EMIフィルタは、ディスクリート構成によるソリューションと比べ以下のメリットを提供します。

  • PCB領域の縮小
  • 静電気放電やEMIノイズに対する保護の強化
  • 寄生インダクタンスが比較的低いため、より広い範囲の周波数を除去可能
  • 設計の柔軟性を向上