STは、AIや高速データ通信に対して高まる要求に応えるために、デジタル・インフラの強化に向けた取り組みを行っています。シリコン・フォトニクス(SiPho)技術は、シリコンベースの材料を使ってフォトニクス回路、つまり光でデータを伝送する回路の開発に使われます。光モジュール内の、より高速で効率的なデータ転送を実現するうえで有望視されています。
プラガブル・オプティクスに組み込まれた光トランシーバは、光信号と電気信号を相互に変換する重要な役割を果たします。コンピューティング・リソース、スイッチ、ストレージ間のデータ・フローだけでなく、サーバ間、データ・センター間のデータ伝送も加速します。
ST初の光集積回路PIC100をはじめとするST独自のシリコン・フォトニクス技術は、レーンあたり200Gbpsの通信速度を生み出す包括的な設計プラットフォームを提供します。このテクノロジーをさらに最適化して、データ・スピード、電力効率、小型化、容量、コスト効率の課題を解決し、800Gbpsおよび1.6Tbpsの次世代プラガブル光ソリューションを実現します。
このテクノロジー・プラットフォームは、モジュレータとフォトダイオードで、それぞれ50GHzおよび80GHzを超えるバンド幅に対応します。
特許取得済みの技術スタックには、SiおよびSiN(窒化シリコン)によるサブdBの極めて低損失の導波管と、低損失のエッジ・カプラなどが含まれます。
STのシリコン・フォトニクス技術では、さらに高速のモジュレータを開発するために、異なる種類の素子を組み合わせることができます。半導体光アンプ(SOA)とレーザの集積化も可能です。
このような技術革新が、将来の3.2Tbpsプラガブル・オプティクスに必要なレーンあたり400Gpsのモジュール実現への道を開きます。
AIクラスタに使用される新しいタイプの光接続に対応するため、小型モジュレータの新製品ラインを開発中です。これらの製品は、現在AIクラスタのラックに多数張り巡らされている銅線ケーブルによって生じる輻輳を緩和します。シリコン・フォトニクス回路のコンパクトな設計と、光学部品の同一パッケージへの集積化(CPO)により、電気-光デバイスが小型化されます。銅線ケーブルから光ケーブルへのスケールアップが、AIクラスタの導入を加速し、将来の成長を促します。
TSV(Through-Silicon-Via)は、シリコン・フォトニクスおよびCPO(Co-Packaged Optics)の進歩に欠かせないテクノロジーです。シリコン基板内で垂直方向の直接相互接続を可能とし、光学部品と電子部品のより効率的な集積化を実現します。
TSVによる垂直方向相互接続の高密度化と、シリコン・フォトニクスによるデータ転送の高速化の組み合わせが、システムの高効率化、小型化につながります。
シリコン・フォトニクスとBiCMOS技術による製品は、STのクロル工場(フランス)にある300mmラインにおいて、先進リソグラフィを使用して生産され、デジタルCMOSのカテゴリで高い製造歩留まりを誇ります。世界的な統合型半導体メーカー(IDM)として、STはその価値を自社の製造プロセスより生み出し、他社に依存することなく、お客様の需要を確実にサポートします。