NFC技術の需要が高くなり、採用する機会が増えています。決済、入退室管理、家庭用電化製品だけでなく、NFC技術を適用する分野が広がり、市場が拡大しています。
NFCにより、デバイスのペアリング、認証、パラメータ設定などの革新的なアプリケーションの利点を生かし、その結果として、ユーザの体験と利便性を向上できるようになりました。現在、NFC技術は新たな局面を迎え、ワイヤレス充電を実現しています。
NFCフォーラムによって標準化されたNFCワイヤレス充電技術は、充電器用の物理的プラグが不要となり、利便性が向上するというメリットがあります。
今までのワイヤレス充電は、単純な形状の大型アンテナを必要とする技術でしか実現できず、消費財産業の非常に限られた製品分野のみで使われていました。このような技術上の制約により、ワイヤレス充電技術のアプリケーション分野は限定されており、イヤホンやフィットネス･トラッカなどの所要電力が小さい小型デバイスには実装できませんでした。
STのNFCワイヤレス充電ソリューションを採用することで、システムのサイズ要件が最小限で、フレキシブルな折り曲げ可能なアンテナPCBに対応できるようになるため、小型のバッテリ駆動デバイスへの電力供給に使用できます。
超小型
フレキシブルなアンテナ設計
複数のNFCユース･ケース
優れたコスト効率
ここでは、ST25 NFCワイヤレス充電ソリューションにより、製品設計とユーザ体験をどのように改善できるかを説明します。
NFCを組み込んだ既存製品でNFCワイヤレス充電を有効にすると、既存製品の電子および機械設計を効率化し、部品コストを節約できます。また、デバイス設定を行うだけで、NFCを主な充電方法として定義できます。
NFCによるワイヤレス充電では、ワイヤレス･イヤホンなどの接続されているNFC対応デバイスの充電残量が少なくなったときに、ユーザが自分のスマートフォンをバックアップ電源として充電ができるようになるため、エンド･ユーザにとっての柔軟性と利便性も高まります。
ワイヤレス充電技術が使用されるようになってから数年がたっていますが、その多くは独自仕様であるため、相互運用性がありません。また、所要電力が大きいため、アンテナサイズが大きく多数の部品を実装可能なデバイスが対象になります。
Qi規格ベースのワイヤレス充電技術は、スマートフォン、タブレットなどの比較的大きい製品で実装されており、市場では非常に需要があります。使用されるアンテナは10cm²以上あり、最大45Wの電力を伝送できます。
NFCワイヤレス充電技術は、約1cm²以下のアンテナを使用し、別の製品を対象とします。この技術は、イヤホン、フィットネス･トラッカなどのウェアラブルやIoT製品といった小型のバッテリ駆動アプリケーションに最適な電力レベルを提供し、簡単に組込み可能です。
NFCワイヤレス充電には、NFCフォーラムの仕様では「ポーラ」と呼ばれる充電トランスミッタと「リスナー」と呼ばれる充電レシーバを使用します。ポーラとリスナーは、最適化された効率的な電力伝送を提供するNFC充電システムには、不可欠です。
NFCフォーラムのワイヤレス充電仕様に準拠するSTのST25R NFCリーダライタICとST25DV-I2C NFCタグICを使用すると、NFCワイヤレス充電ソリューションを設計できます。このST25リーダライタIC & タグICはSTM32マイクロコントローラなどの追加のSTコンポーネントと統合され、NFCワイヤレス･ソリューション全体の設計に使用できます。
ST25DV-I2CシリーズNFCダイナミック･タグICは、リスナーの実装に使用し、電力受信用にエンド･デバイスに組み込めます。ダイナミック･タグICは、一方でデータ･レシーバの役割とマイクロコントローラとの通信インタフェースの役割を果たし、他方では充電制御命令をポーラ（充電トランスミッタ）に送信します。
