NFCアプリケーション

NFCアプリケーション開発を成功させるために

NFCアプリケーション

NFCを活用したスマートフォン・アプリケーションやモバイル・エコシステムの主な成功要因について見てみましょう。

NFC技術がユーザにどのようなメリットをもたらすかは、範囲やタグICの位置といった物理的な実装とソフトウェア・アプリケーションの両方によって決まります。

NFCは、依然としてほとんどのスマートフォン・ユーザにとって新しい技術です。NFCには、さまざまな製品やサービスにワンタップだけで接続できることが期待されていますが、これにはソフトウェアの実装がきわめて重要です。

NFC技術では、次の2種類の方法によりユーザとのつながりを強めることができます。

「タップ・アンド・コネクト」

NFCのタップ・アンド・コネクト

NFCフォーラムによってあらかじめ定義され、NFC対応スマートフォンに組み込まれたユース・ケースを活用する場合、モバイル・アプリが無くてもタグICにタップするだけで接続することができます。

基盤となる技術であるNDEF(NFC Data Exchange)は、URLやvCard、ポスターなどに設定することができます。一般的なユース・ケースとして、Webサイトのブラウジング、電話番号の呼出しや保存、VCF(Virtual Contact File)としても知られるvCardの保存、ソーシャル・メディアの使用などが挙げられます。

さらに、レコードと呼ばれる異なる複数のユース・ケースを使用して1つのNDEF設定を構築することも可能です。複数レコードの管理はNFC対応スマートフォンによって異なるため、ユーザにとって不便にならないよう、最初のレコードにのみ入力することをお勧めします(複数レコードNDEF機能の使用はまだお勧めできません)。

ブランド・アプリ

ユーザ体験の向上を目的として、独自のモバイル・アプリを作成することで、ユーザとの直接的なつながりを持つといったNFCのメリットを活用することができます。

独自のモバイル・アプリでは、特定のタグICのみが理解して対応できる独自のコマンドをタグICに送信することもできます。この場合、NFCは特定のタグICと簡単かつ迅速に通信することができるため、より多くのリクエストを送ることができます。

加えて、タグICの特定のメモリ領域の読取りまたは書込み、デジタル署名の検証、データの暗号化など、さまざまなユース・ケースも実現します。

ブランド保護のための製品IDや認証、ダイレクト・マーケティング、盗難防止、アセット・トラッキングなど、きわめて多くのアプリケーションがNFCにより実現します。

その他の方法

Webアプリを使用して、NFC機能をブランドのWebページに追加することができます。この場合、Webページ内に組み込まれたWebアプリがNFCモジュールとしてNFC命令を承認するため、独自のアプリケーションを開発する必要性がありません。

ただし、現状ではプラットフォームのサポートが限定的などといった制約があるため、完全には推奨できません。

また、スマートフォンでNFC技術を活用する方法に、App Clipsを使用するものがあります(ただし、iOS14もしくはそれ以降向けの完全なモバイル・アプリ開発時に限る)。App ClipsというOS機能を使用すると、ユーザはアプリを完全にインストールせずに、主な機能にアクセスすることができます。そのため、ログオンやアカウント作成をせずに、軽容量かつ高速でアプリ機能を使用可能です。もちろん、完全なアプリをインストールすることもできます。

NFCを使用したデータ管理方法

NFCデータ管理

タップ・アンド・コネクトとブランド・アプリの比較

タップ・アンド・コネクト

NFCフォーラム準拠のNFCタグICであるST25TVシリーズは、これまで紹介したすべての方法に対応し、幅広い実装オプションを提供しています。

さらに、「タップ・アンド・コネクト」を選択した場合は、「拡張NDEF」機能により、モバイル・アプリを必要とせずに特定のデータにアクセスすることができます。タンパ検出やタップ・カウンタまたは各チップに固有のシリアル番号が、スマートフォンでネイティブにデコードされるNDEF URLに含まれています。

このようにして、ST25TVでは製品の識別および認証を簡単に行うことができます。

ネットワーク・アクセスの必要性

ネットワーク・アクセスの利点: スマートフォンをアプリケーション・プラットフォームとして利用することの最大のメリットとして、1つのデバイスを幅広いトランザクションに使用できる点が挙げられます。

NFCタグにより、ユーザをWebコンテンツへと誘導するマーケティング・キャンペーンなどでは、多くの場合に何らかのネットワーク・アクセスが必要となります。

たとえば、SNSや友人との通信、情報の共有およびゲーミフィケーションは、プロモーション戦略の中で考慮すべき側面でもあります。

また、デジタル署名タグICを使用すると、サプライ・チェーン全体にわたって製品認証を行うことができ、製品偽造の防止が可能です。このプロセスはWebサイトのホストとの通信をベースにしているため、ここでもネットワーク・アクセスが必要となります。

ST25TVには、TruST25デジタル署名が組み込まれています。これにより、製品の完全性を保証し、製造元を認証することができます。

ネットワークにアクセスできない場合

ネットワーク・アクセスなしのNFC

NFCアプリケーションは、ネットワーク・アクセスがない場合にも、モバイル・アプリを使用することでさまざまな情報を提供することができます。

タグICを読み取るだけで製品を識別し、製造元の確認や、製品のトレーサビリティを確認することができます。 タグICには、製品のデザインに関する情報や、持続可能な材料のみが使用されているといった情報、または商品が製造された工場の詳細に関するデータを格納することができます。

そのため、ネットワーク・アクセスが無くても、次のような情報をユーザに提供可能です。

  • トレーサビリティ情報
  • 製品履歴の確認と更新
  • 成分 / 材料(栄養成分や潜在的アレルゲンなど)
  • ブランドの連絡先情報
  • 製品および製造元の認証
  • クーポンの有効化
  • 製品の真正性認証
  • お客様サポート・センターへの電話 / メール対応機能
  • タグICのパーソナライズ

STが提供する最大8KBのユーザ・メモリを搭載した幅広いNFCタグICには、オフライン・アクセス用の情報を保存することができます。

 
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